10代の若者によるメディア利用の劇的な変化と、予想外の新たな利用時間帯のトレンドとは【InterBEE 2024リポート①】
日本最大級のメディア総合イベント「InterBEE」。今年も昨日(11月13日)から3日間の日程でスタートしました。テレビの放送技術の展示会だと思われがちですが、それだけではありません。メディアの最新事情を知ることができる数十コマに及ぶセッションが開かれるのです。幕張メッセの会場に行けない人のために、注目の内容をリポートしていきます。
まずは、若者を中心に驚くようなユーザー行動の変化がありましたので、そちらから紹介します。彼らに見てもらえる新たな時間帯の傾向とは。
スローニュース 熊田安伸
衝撃!「テレビが生活の中心」の集団が消えた!
まず参加したのは、「定量データから見る情報空間の現在地~生活者トレンドを正しく理解し、制度設計の礎とする」というセッションです。
登壇したのは、株式会社ビデオリサーチのフェローで、ひと研究所の所長でもある渡辺庸人さんです。2年に1度行われている、全国7000人以上を対象にした生活者の行動パターン分析の結果を解説してくれました。
2週間分の行動を15分刻みで記録したデータを、「生物学の塩基配列のパターン分析を社会科学の分野に持ち込んだ、一列に並んだデータの類似性を分析するソーシャル・シークエンス分析」という方法で解析しました。
その結果、時間ごとにどういう行動をとっているのかと分析したのが、こちらのグラフになります。
このデータ、生活パターンの特徴から、以下のような11のパターンに分類できることが判明したとか。
11に分類されたクラスター。しかし、その中に以前なら確実に存在していたものが消えていました。それが「テレビ専念クラスター」だというのです。
テレビのリアルタイム視聴が生活パターンに影響を与えている様子は、確かに今でも高齢の年代で見られますが、テレビ視聴が生活の起点になっているような大きな影響を受けているクラスターが存在しなくなったというのが特徴だといいます。(厳密にいうと、クラスター分けをもっと細かくしていくとようやく出現するようではあるようなのですが)
テレビの視聴が減った分はネットに?そんな単純なものではなく…
では、今回のデータを時間量に換算すると、どうなるのか。減っていたのは、外出時間で33分。そしてテレビのリアルタイム視聴の時間で54分でした。
その合計90分近くはどこに流れたのでしょうか。増えていたのは、「睡眠」「在宅での仕事」「ネット利用」の3つだったようです。睡眠が増えているのはいいことのような気もしますがどうなんでしょう。そしてやはり在宅勤務は増えているということなのでしょうか。
東京ではリモートが定着したのに、名古屋ではコロナ前に戻った!?
では、先の11のクラスター分析に戻って、その中身をさらに細かく見ていきましょう。
コロナ前の2018年と比べて明らかにスコアが変動したのが、やはり在宅勤務型の人の増加=定着してきているということです。メディアの利用分析でこんなことまで見えてしまうんですね。
これをエリアごとに分析すると、さらに面白いことが見えました。
東京50km圏、関西、名古屋の3つのエリアで比較してみると、東京エリアでは在宅勤務型が10ポイントも増えているのに、名古屋エリアではマイナス0.2、つまりコロナ前の水準に戻ってしまっていることが見えたのです。
そして今回のクラスター分析では、思わぬ結果も見えました。12歳から29歳の若者のメディア利用に起きていたある変化です。
この世代では、これまでにも「ネット動画の視聴の増加」「夜の時間帯でのネットメディア利用の増加」していることは知られていましたよね。今回は、それらとは全く違う、ある時間帯をこの世代が利用しつつあることが見えてきたのです。