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20年以上も黙認されてきた漁協幹部の公金横領を「悪いものは悪い」と告発した22歳の若者の「組織を変える勇気」

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《スクープ!安芸漁協の不正の実態》Z世代職員らが内部告発 副組合長が着服を認め謝罪【高知】

「悪いものは悪い」

高知県の漁協で長く続いてきた公金の横領が、2年目の若い職員の告発により発覚したことを、高知県の「さんさんテレビ」が報じました。さんさんテレビは2ヶ月以上にわたる独自取材をし、警察もすでに捜査しているということです。

事件の舞台は、高知県安芸市の安芸業業協同組合。漁協の収益となる市から委託金の一部を副組合長が裏帳簿をつくって横領し、個人的に着服していました。その総額は300万円を超えます。

さんさんテレビの報道によれば、この横領に漁協側も気づいていたものに、それを黙認していたということです。

(安芸漁協 事務員)「おかしいなと思いながらも圧力というか前からの慣例でもあり(副組合長に)言うことができなかった」

しかし、漁協に入って2年目、22歳の松田叶夢さんが、裏帳簿を見て不正に気がつき、漁協に根付く悪しき慣習を断ち切りたいと内部告発しました。

「ちゃんときれいに仕事をして当たり前のことなので、当たり前じゃないことが起こっているのをそのまま知らんふりしているのはいやなので公にしました」

Z世代の勇気ある告発を受けて、これまで副組合長の報復を恐れて黙っていた上司も動き、警察に持ち込むことになりました。この上司によれば、不正は前の副組合長時代から、20年以上続いていたということです。

組織に長くこびりついた不正を告発するのは勇気がいることです。それに対し、「やっぱり悪いものは悪い。裁かれるべきは裁かれる。なので負けない。しっかり正していきたい」と松田さんと心境を明かします。

歪んだ組織を変えるのは若者だということを、あらためて感じる報道です。(瀬)

高知さんさんテレビ2024/4/10