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【内部文書入手】3月サイト一斉終了、デジタル職員を廃止!新聞協会に屈したNHK『デジタル化大撤退』

スローニュース取材班

公共放送からデジタル時代にあわせて公共メディアへの進化を遂げようとしてきたNHK。しかしこうしたコンテンツが一気に読めなくなろうとしている。

3月1日、NHKにインターネット業務を義務づける放送法改正案が閣議決定された。放送とネットでの配信内容は「同一」のものとなる。これにより、デジタル上で展開してきたコンテンツの多くは読めなくなる。

実はNHK内では先月からこれを見越したような動きが急加速していた。「スペシャルコンテンツは段階的にではなく、3月末に一斉に更新停止」「NEWS WEB後の新サイトの立ち上げを早める」「“デジタル職員”は廃止」といった衝撃的な情報が伝わってきた。いずれも「新聞協会の圧力に屈した」結果だという。

視聴者・読者には何の説明・議論もなく事は進んでいる。「緊急特集『NHKデジタル大逆行』#1」では、入手した内部資料などをもとにその内幕を明らかにする。


「政治マガジン」など特設サイトが3月末に“一斉に”終了

NHKのニュースに関するデジタル発信は、最新のニュースを伝える「NHK NEWS WEB」を本丸に、「政治マガジン」「国際ニュースナビ」などをはじめとした「スペシャルコンテンツ」(局内では特設サイト、スペコンとも呼ばれる)がある。政治・経済・事件など各ジャンルごとに、テレビという情報量に限界がある媒体では伝えきることができない情報を発信してきた。

例えば政治マガジンについては、「テレビは首相や官房長官の話ばかりで表面的でつまらないですが、その裏側が分かりやすく解説されているのでありがたい」という視聴者・読者の声も届けられていたという。「理解増進」のためのコンテンツだ。

電車の中吊り風のインターフェースも話題になった「NHK政治マガジン」より

だが、こうしたNHKのデジタル展開について、NHKのあり方を議論する総務省の「公共放送ワーキンググループ(WG)」では民放連や新聞協会が数値的なエビデンスもないまま「民業圧迫」という批判を繰り返していた。特にやり玉に挙げられていたのが「スペコン」だった。

その結果、こうしたスペコンについては、去年12月29日の「デイリー新潮」で内部文書をもとに、整理・縮小が段階的に検討されていることが報じられた。

それが先月、一気に「一斉終了」へと状況が変わったというのだ。

2週間ほど前に、少数の現場の担当者たちに、あることが言い渡された。

ほんの一部を除くほぼ全てのスペシャルコンテンツを、3月末をもって一斉に終了する。その準備に入れという指示が出たのだ。当初は「段階的に」整理すると伝えられていたが、「一斉に」となったことから、現場に衝撃が走った。

箝口令が敷かれた現場

「幹部の中にもまだ知らない人がいる。途中で漏れると『聞いてないぞ』と抵抗が起きる可能性があるので、絶対に局内でも漏らさないようにという箝口令が敷かれたと聞いています」(NHK職員)

しかし、衝撃的な方針転換は関係者の間に広まった。

「終了」とは、正確には「更新停止」という措置が取られるのだという。新たな記事の発信などサイトの更新が行われなくなり、トップ画面に「これはアーカイブサイトです」というような表示をする。3月末に終了するとなると、担当者には伝えないと準備できないため、いまの段階で密かに指示が出たようだ。

スペコンの中でも特に多くの読者を集める「NHK国際ニュースナビ」も更新停止の対象だ

ほんの一部のサイトを継続させるのは、「NHKと若者とをつなぐ大事な接点」になっているというのが理由だ。そのサイトの存続に影響が出かねないので、ここでは名前は明らかにしない。

また、「災害」に関するコンテンツについては、「公共性が高い」ことを理由に、継続をしていくことになっているという。

NEWS WEBも早期終了になり新サイト誕生へ、その中身は

同時に、「本丸」である「NHK NEWS WEB」も終了が早まることになった。「スペコン」と同じようにアーカイブサイトとして残す計画だ。

代わりに「新サイト」を立ち上げる。今、急ピッチで作業が進められていて、できれば新年度の早い時期に登場させたいとしている。

NHK NEWS WEBより

新サイトではニュースを配信するが、記事の最後に、「これは〇月〇日のニュースウオッチ9で放送した内容です」などと、「放送と紐づいている」ことの説明が付くことになるという。

「要するに、民業圧迫を主張する新聞協会に『すいませんでした。放送と同じ内容にしました』と説明するために、いままでのものをいったん全部捨て、『放送と同じ』だということをアピールする仕様にするわけです」(前出職員)

※3月5日20時50分追記
この記事を発信したあと、NHK広報局から事前に質問した内容についての回答が届いた。『NHK NEWS WEBを早期に終了し、新サイトを2024年度の早い時期に立ち上げるという事実はありません』と否定したが、新サイト立ち上げに向けて動いている点は間違いなさそうだ。そのほかの回答の詳細については、明日の第2回でお伝えする。

ここから先は会員限定です。NHKの新サイトはどのような体制で作られるのか。そしてデジタルコンテンツ廃止で職員の処遇にも大きな影響が出る状況を、内部文書などをもとに明らかにします。

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