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【自民“第2の裏金”を追及する③】ほかの都道府県連でも起きている可能性「ここまで詳しく調べられないだろうとなめられているのでは」

自民党の鳥取県支部連合会(鳥取県連)と神奈川県支部連合会(神奈川県連)で、それぞれの県連と各支部の間に政治資金の不透明なやりとりが存在する実態が明らかになった。

支部側の政治資金収支報告書には「県連から交付金を受領した」という記載がありながら県連側に交付金の支出記録がないケースが続出しているのだ。2022年の政治資金をチェックしただけでも、鳥取県連は計30件(22支部)・総額128万8710円、神奈川県連は計53件(13支部)・総額698万7850円に達している。出所不明の資金が各支部にばらまかれている格好になっており、「県連の帳簿に載っていない裏金から拠出したのではないか」との見方も出ている。

自民党神奈川県連の入る建物(撮影:鈴木祐太)

鳥取県連の会長は石破茂首相で、神奈川県連の会長は総裁選にも出馬した小泉進次郎氏は党選挙対策委員長を務めている。党4役が束ねる県連の政治資金で、不透明な実態が浮き彫りになったのだ。さらに、他の都道府県連でも同様のケースが垣間見えている。

この実態をどう見ればいいのか。政治資金・選挙資金の問題に詳しい日本大学法学部の安野修右・専任講師にインタビューした。安野氏は自らも情報公開制度を駆使して政治資金や選挙資金の関連文書を継続的に入手し、問題点がないかどうかの分析を続けている。

聞き手:フロントラインプレス 鈴木裕太

ほかの都道府県連でも同様のことが起きている可能性は高い

――県連の政治資金収支報告書には出金の記録がないのに、支部側には県連からお金を受け取ったという記録がある。そんな実態が鳥取県連と神奈川県連の政治資金収支報告書を分析していると見えてきました。これらは、たまたま鳥取と神奈川の県連だけで起きたものだと考えていいのでしょうか。

安野 当然、他の都道府県連も調べてみないと、具体的な指摘はできません。ただ、政治資金収支報告書をいつもチェックしている立場から言うと、ほかの都道府県連でも同様のことが起きている可能性は高いでしょう。同じ都道府県の違う年を調べてみても、同様のことが行われている可能性が高いと思います。つまり、もっともっと広がりがありそうだということです。

安野修右・日大専任講師(撮影:鈴木祐太)

――政治資金の取り扱いは、特別なものではありません。入ってきたお金と出ていくお金。それをきちんと記録し、収支報告書にまとめて提出するだけです。そんな簡単な行為がなぜできないのでしょうか。

安野 政治資金がどういう使われ方をしているか、それをきちんと調べる有権者が今までほとんどいなかった。いたとしても十分でなかった。そこに尽きるのではないでしょうか。

鳥取県連と神奈川県連のケースも含め、各都道府県連側はこうやって外部から調査をされるとは、あまり思ってもいなかったでしょう。今まで調査もされなかったから、簡単な帳簿付けですら、しっかりやっていなかった。適当に済ませていたのではないでしょうか。仮に悪意がなかったとしたら、そのあたりが実情ではないかと推察します。

裏金事件との共通点は?

――自民党の派閥による政治資金パーティー券の裏金事件では、事実を収支報告書に記載していなかったとして、国会議員や政治団体の会計責任者らが政治資金規正法違反で刑事責任を問われました。派閥の裏金事件は組織的で、裏金の総額は2018年からの5年間で少なくとも約6億円とされました。こうした裏金事件と鳥取・神奈川の実態には、何か共通点はありそうでしょうか。

ここから先は会員限定です。一連の裏金事件と比べるとどうなのか、なぜ不記載が多発しているのか。安野氏が鋭く指摘します。

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