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暴力団、反社会勢力も登場する「乱脈オーナー支配」に痛みを覚悟で縁をきった京都新聞経営陣の「ガバナンス刷新力」

フジテレビでも問題になったメディアの不透明なガバナンス。公器ともいわれるメディア企業ですが、内部に目を向けると不透明な経営支配やガバナンス不全が問われることは、残念ながら決して珍しくありません。創刊145年をこえる有力地方紙、京都新聞も、オーナー家による「私物化」という問題を永年、抱えていました。

この闇を払拭するため、持株会社「京都新聞ホールディングス」はこれまで大株主だった元相談役の女性に違法に支払ってきたとされる19億円の報酬の一部を返還するよう京都地裁に提訴。京都地方裁判所は、1月23日、元相談役に5億1000万円余りの返還を命じる判決を言い渡しました。

約40年にわたる新聞社へのオーナー一族の寄生はなぜ始まり、組織を蝕んできたのか。そして、それをどうやって断ち切ることができたのか。

この問題を、元神戸新聞記者で講談社ノンフィクション賞受賞作家でもある西岡研介さんが、3回にわたってJBPressで執筆しています。

「バブルの怪人」許永中、「京都のフィクサー」山段芳春、四代目会津小鉄会長・高山登久太郎会長といった闇紳士、反社会勢力が続々登場、京都の「オール怪獣総進撃」のような乱脈ぶりは、報道機関の矜持どころか、まともな会社としてのガバナンスを失っています。

一方で、こうした状態を、経営陣が刺し違える覚悟で挑み、ガバナンスを刷新したことは力強く、いまの京都新聞に自浄能力、希望を感じます。こうした状況を裁判などで公表することは相当な痛みを伴うことも予想されますが、同時に報道機関としてもそれを乗り越えて健全であろうとする覚悟を感じます。

今後の京都新聞には期待したいと思います。

フジテレビはいまも混乱が続いていますが、外部からの圧力ではなく、内部からどういう動きが出るのでしょうか。痛みを覚悟しても報道機関としての信頼を取り返そうというアクションがおきるのか、期待して注目したいです(瀬、文中敬称略)

タイトル写真、左は京都地方裁判所(同地裁ホームページより)

このコラムは、あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしいという方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツなどをおすすめしています。