「監督はスター選手出身」という日本の常識が米国メジャーリーグで通用しないのはなぜか
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なぜ「イチロー監督」「松井秀喜監督」は実現しないのか…プロ野球とMLBでまったく違う監督の選考基準
プロ野球の西武ライオンズは松井稼頭央監督が休養し、渡辺久信ゼネラルマネジャーが監督代行に就くことを発表しました。
成績不振の責任をとるという残念な結果ですが、元スター選手から元スター選手への交代は、日本の監督では当たり前のように行われています。しかし、米国のメジャーリーグではまったく事情が違う、とスポーツライターの広江晃さんがプレジデントオンラインに寄稿をしています。
現在のMLB30球団の監督の経歴を記し、30人のうち、11人はMLBでプレーしたことはないマイナー止まりの選手だったことを指摘します。
中には、ダルビッシュ有や松井裕樹が所属するパドレスのマイク・シルト監督はマイナーの経験さえなく、高校野球の指導者からスカウトを経てパドレスの監督になっているというのです。
一方で、日本はまったく事情が異なります。昨年日本一になった阪神タイガースの岡田彰布監督はじめ、現役時代のスター選手ばかり。2023年オフに誕生した新監督も阿部慎之助、今江敏晃、小久保裕紀と、綺羅星のような中心選手ばかりでした。
では、なぜ日米、こんなに違うのかーーについての広江さんの考えは、ぜひ記事を読んでみてください。
プロ野球を考えるときに、選手の動きや試合の結果だけではなく、こうした俯瞰した視点を与えることもスポーツジャーナリズムの役割ですね。
ちなみに、阪神タイガースではまったくプロ野球経験のない人を監督に抜擢したことがあります。しかし、それは結果として球団と選手を分裂するような大騒ぎとなり、それがその後のタイガースに「お家騒動」という、ありがたくない伝統を生み出すきっかけになります。
この黒歴史も、もしかしてメジャーと日本を分けることに加担したのかも、というのは、私の勝手な憶測です。詳しく知りたい方は『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』をお読みください。(瀬)