世界中でメス2頭だけになってしまったキタシロサイを絶滅から救う「遺伝子編集」の是非
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最後の2頭になったキタシロサイ、「脱絶滅」技術で救えるか
アフリカでメス2頭だけが残り絶滅寸前のキタシロサイ。その絶滅危惧種を人工授精や遺伝子編集の力で救おうというプロジェクトと、それに対する批判をナショナル・ジオグラフィックがとりあげています。
もともとキタシロサイは、ウガンダやスーダンなどアフリカの広い範囲に生息していました。しかしその角が漢方薬や装飾品として高値で取引されたため密漁が横行したり、あるいは環境破壊で生息地が失われたため、2000年代に野生では絶滅しました。現在では、ケニアのオルペジェタ自然保護区に母子のメス2頭が残るだけとなってしまったのです。
メス2頭から繁殖させるのは一見、不可能に思います。しかも、その2頭は出産能力がないというのです。では、どうするのか。
その手法をナショナル・ジオグラフィックが紹介をしています。それはミナミシロサイを利用した「代理母」とも言える手法です。
以前にキタシロサイのオスから採集し、冷凍保存していた精子を、メスから採取した卵子と人工授精させて受精卵をつくります。それをミナミシロサイを「代理母」とすることによって、出産させるというのです。
さらには遺伝子編集により、キタシロサイを病気から守ろうというプロジェクトも進んでいます。
一方、こうした極端な手段を使うことには批判もおきています。また、環境破壊により絶滅寸前に追い込まれたのに、こうして生まれたキタシロサイを戻す野生環境があるのか、という問題もあります。
絶滅危惧種を救うことは重要ですが、こうした遺伝子工学まで利用した極端な手法の是非とは別に、それが環境破壊の免罪符にはならないことも理解しておかなければなりません(瀬)
(ナショナル・ジオグラフィック 2023/9/22)