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音声メディアの飛躍! Netflixヒット作の背景! ドキュメンタリーを届ける方法…タイパ重視の読者に贈る5分で読めるポイント【InterBEE 2024リポート⑤】

日本最大級のメディア総合イベント「InterBEE」。メディアの最新事情を知ることができるセッションの中から、注目の内容をリポートしています。

アーカイブ配信がないセッション以外は、もう公式から動画が配信されました。詳しく知りたい方はそちらを見ていただければ。ただ、タイパ重視の方のために、今回は注目セッションのポイントを5分で読めるテキストでお届けします!なぜいま音声コンテンツが飛躍しているのか、ネトフリのヒット作の背景、ドキュメンタリーを届けるには。

スローニュース 熊田安伸


「21世紀でいまが最もラジオが聴かれている」

セッション『音声コンテンツとしてのラジオの展望、そしてテレビが学ぶべきことは?』の概要です。大前提として、テレビの広告費はマイナスなのに、ラジオの広告費は横ばいで微増しているという現状があります。

ニッポン放送コンテンツプロデュースルーム長、冨山雄一さん。「21世紀に入ってから、2024年現在が若者の中で最もラジオが聴かれている」と強調します。その要因として、1人で楽しむメディアから、スマホのおかげで複数でシェアして楽しむメディアに変貌したことを挙げました。radikoの登場で、若年層のリスナーは数十倍に伸びています。

ラジオといえばリアルタイムで聞かれるものでしたが、タイムフリーになったおかげで、「神回」はSNSで話題になるたびに聞かれるようになっています。SNSがコミュニティづくりに寄与し、リスナーとの双方向のやりとりも重層化。冨山さんは、自らが手掛ける「オードリーのオールナイトニッポン」をその典型例として紹介、放送の何倍もの時間が通勤・通学時間帯に聞かれているそうです。

今年2月の東京ドームでのイベントでは、会場だけで5万3000人、ライブビューイングなども含めると、16万人を動員する驚異的な数字を叩き出しました。

リスナーは20代が圧倒的に多く、30~50代もいるそうです。YouTubeやインスタライブはチャットで完結してしまいますが、radikoはXでつぶやいてくれるし、テレビよりもトレンドワードに入りやすい。「オフ会をずっとやっている感覚」だといいます。

ラジオはリスナーとの1対1の関係でしたが、今はパーソナリティーもリスナーも番組スタッフもスポンサーも横並びの関係で、夜な夜なコミュニティが形成されているのだとか。ラジオは強力なファンコミュニケーションツールになると語っていました。

その一方で、ファンコミを意識しすぎるのもちょっと違うといいます。
「ラジオのリスナーは推し活とは微妙に違う。秘密基地を知っているような感じで、毎週聞いているよーというぐらいのグラデーションがちょうどいい」 

1人の熱量で作ったラジオ番組「脱・ローカルだからこそ全国にファンが」

続いてはRKB毎日放送の冨士原圭希アナウンサー。制作した「空想労働シリーズ サラリーマン」というラジオ番組が、ギャラクシー賞ラジオ部門優秀賞、放送文化基金賞ラジオ部門優秀賞、民放連ラジオエンターテイメント優秀賞の3冠に輝きました。

冨士原圭希さん

昭和特撮好きの自らの趣味で提案したこの番組、企画・脚本・演出・編集・キャスティング・出演・営業と、全て担ったということです。予算は当初はゼロ、イベント予算からちょっともらってやっと60万円に。「選択と集中」でキャストと音楽だけは妥協しなかったとか。

「危機感をもって入社した世代。ラジオロスト世代でもある。放送局に入社したけど大丈夫か、全部ネットでいいとなったらローカル局の役割がなくなる」 

そんな冨士原さんでしたが、番組の大きなコンセプトは「脱・ローカル」なのだとか。福岡の放送局だからといって、ありがちな博多弁や明太子などの福岡らしいモチーフは一切禁止。ラジオを大事にしながらメディアミックスをすることで、全国でファンを獲得できたとしています。

日米の音声メディア、ビジネスモデルの現状

このあと、日米の音声メディアのビジネスモデルについて、株式会社オトナルの代表取締役、八木太亮さんが詳細なデータをもとに解説してくれています。データ満載なので、詳しく知りたい方はこちらのアーカイブ配信をどうぞ。

気になるポイントを一つだけ紹介しておくと、「デジタル音声のマネタイズは広告かリスナー課金」であり、 広告マネタイズはシビアに数値と向き合う姿勢が必要。リスナー課金はサブスクや単発投げ銭で、アメリカのポッドキャストではゲーム実況で月に1900万円も稼ぎだしているところもあるし、国内の番組でも「コテンラジオ」は月に1300万円以上稼いでいるのではないかとのことでした。

つまり、結局は「聞かれる番組を作ること」が大前提。共感ポイントを作れる番組かどうかが問われているとまとめていました。
「指名で見られることが大事。選ばれてリスナーが来るもの。放送は枠を埋める作りだが、深夜ラジオはわざわざ聞きにいかないと聞けない」

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