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「生理用品が買えないのはなぜ」「トー横での少年たちのオーバードーズ」調査報道は学生にもできる!いま学生メディアが熱い

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうは活発に調査報道に取り組んでいる学生メディアを取り上げます。

トー横の10代が語る薬の大量摂取「メジコンなら1回20錠」

上智大学の学生メディア「Atta!」は、文学部新聞学科でジャーナリズムを学ぶ有志のウェブメディアで、奥山俊宏教授が編集長をしています。

東京・新宿の歌舞伎町にある通称「トー横」。そこに集まる少年、少女の間で、「オーバードーズ」と呼ばれる薬の大量摂取が蔓延していることを現場で取材して伝えています。

睡眠薬の「サイレース」や咳止めの薬の「メジコン」を使っているということで、違法薬物でなくとも危険な状態です。

年が近い若者たちだからこそ、語れることもあるようです。記事は若者たちの行為を非難するのではなく、「彼らのSOSを多くの人に届けるために、これからもトー横の真実、及び彼らの心情を伝えていこうと思う」と締めくくっています。

コロナ禍に一人暮らしでSNS見てダイエット、やがて「食べるために吐く」

コロナ禍でSNSを見る機会が増えた時期、大学生にはこんなことが起きていました。

K-POPのアイドルが取り組んだとされるダイエット方法をSNSで見て、片っ端からネットのダイエット法を試すようになってしまった上智大学の女子学生。ダイエットに耐えられなくなると、「食べては吐く」を繰り返すようになってしまいました。

こうしたSNSの影響でダイエットを始めた人がどれくらいいるのか。Atta!の取材班がアンケートをしたところ、65%にも上っていることが判明し、専門家も「衝撃だ」と話す結果になっていました。現場の実体験とデータ、調査報道の基本ですね。

図書館職員、非正規が76% 館数増加、正規職や司書は減少 「無料貸本屋ではない」価値訴える声

専修大学の学生メディア「VIRIDIS」。文学部ジャーナリズム学科の澤康臣教授のゼミナールで学ぶ学生たちが、「学生記者」として活動しています。

最近、図書館をめぐるこんな報道を見かけました。非正規の職員がなんと76%にものぼっているといいます。「読書離れ」が言われる一方で、実は図書館の数は増え続けていて、正職員の不足を非正規で埋める構造になっているのだとか。

データは日本図書館協会にあるものを使っていて、ザ・調査報道というわけではありませんが、非正規公務員も問題になっている中で、いい視点の報道だと思いました。

生理用品自販機 全て6年停止中 業者音信不通

VIRIDISは大学の内外を取材対象にしていて、学生にとって身近な問題も掘り下げています。

こちらの記事では、大学のキャンパスにある女子トイレの生理用ナプキンの自動販売機が6年以上稼働を停止していることを報じています。しかも調べていくと、商品の受注や機械の管理をしていた企業が音信不通になったため、撤去すらできないでいることが明らかになりました。

生活に密着した目の前の問題から調べていくのは、調査報道の第一歩ですよね。

全国の映像祭で特別賞 「黒い雨」被害題材 広経大生がドキュメンタリー 「優れた調査報道」と評価

学生「メディア」ではありませんが、少し前にこんな記事が出ていました。

「『地方の時代』映像祭」で広島の大学生3人が制作したドキュメンタリーが、学生制作では初めて審査委員特別賞を受けたということです。

受賞作は、こちらのYouTubeで無料公開されています。題材はこれまでも多くのジャーナリストが扱ってきたもので、演出にも突出したものがあるわけではありません。しかしとても丁寧な取材をしていてることが印象に残り、重要なことはそれぞれの世代でしっかり記録していくことの大切さを改めて感じる作品です。

いつの時代も年長者は「最近の若い者は……」と言いますが、新しい時代にはそれにふさわしい新しい才能が常に生まれ続けていて、「いまの若い記者はやるなあ」と本当に思います。ジャーナリズムが厳しい環境に置かれている中でも、希望を感じますね。

他にも調査報道に取り組んでいる学生メディアがあるという情報がありましたら、ぜひお知らせください。(熊)