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大量雇い止めの理研で研究力の低下が指摘される理由

日本の研究力低下の要因の一つとも指摘される研究者の雇い止め問題。前回の記事では、日本有数の研究機関、理化学研究所(理研)で、公的研究費によるプロジェクトの代表57人が2023年3月末の雇い止めの対象になっていたという驚きの事実を紹介した。今回も引き続き、理研の実態を通して、雇い止めの弊害について考える。                          【雇い止めと日本の研究力③】


科学ジャーナリスト 須田桃子

「雇い止めのメリット」尋ねてみた答え

「この先、たくさんの人が雇い止めになって、理研にどんなメリットがあるんですか」

かつて理研の神戸の拠点に任期付き研究員として在籍していた60代前半のAさんは、2017年3月ごろ、小さな会議室で事務の担当者にそう尋ねたときの答えを今でもよく覚えている。

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