見出し画像

Facebookが放置する詐欺広告の実態を裏付ける日経の調査報道

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

「証券会社」かたる偽広告、フェイスブック上に1万件

メタが運営するFacebookは詐欺広告が横行し、社会問題にまで発展しています。それでは実態はどうなのか。

日本経済新聞はメタが公開している配信済み広告のデータベースを使い、証券会社の名前を第三者がかたった「なりすまし広告」が23年8月以降だけで1万件にもおよぶという調査報道を9月25日に報じています。

証券会社もそれぞれで被害を確認し、メタに対策を申し入れたものの実効性のある手立ては打たれないまま。そのままメタは広告を放置して、稼ぎ続けた実態が明らかになりました。

日経新聞によると、今年6月以降、なりすまし広告の新規配信はデータベースでは確認できていないということですが、それにしても詐欺広告を事実上放置してきたメタの倫理観は、きわめて低いといわざるをえません。

これまでは広告審査はSNS事業者の自主的な取り組みにまかされてきました。しかし、メタのようにコントロールできない状況を放置するケースもあることから、総務省の有識者会議などでも対策を義務づけるべきだという意見もあがっています。

広告も表現のひとつであり、本来は行政が介入するのを避けるべきで、自主的な取り組みで品質をたもち、違法性を排除していくことが望ましいことはいうまでもありません。

プラットフォーム企業が低いモラルで荒稼ぎをする一方で、結果として日本の表現の自由が脅かされるような事態を招く。その実態を、今回の日経の調査報道は改めて裏付けています(瀬)