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「捨てた電気が45万世帯分」という過去最多の数字は、硬直化した日本のエネルギー政策そのものを問うている

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「捨てた」再エネ電気、45万世帯分 出力制御急増で 朝日新聞集計

原発1基でまかなえる電力量は50~100世帯分といいますから、それに匹敵する電力量が「捨てられて」いたということでしょうか。

朝日新聞が、昨年の「出力制御」された電力量を集計したところ約19・2億キロワット時で、過去最多を3倍以上、上回ったということです。中でも多いのが九州で、7割を占めのだとか。発電量と使用量をそろえないと周波数が乱れて大停電になる恐れがあるからです。

誰しもが、「もったいない」と感じるのではないでしょうか。背景には再生可能エネルギーの増加があるのですが、これで再エネへの切り替えが鈍ってしまったら本末転倒です。

取材にあたった小宮山亮磨さん、Xではこんな投稿もしていました。

なぜこんなことになってしまうのか、丁寧なQ&A記事もついていました。

原発が稼働すると、電力供給は当然増えるので、出力制御も増えやすくなってしまいます。これでは悪循環に陥ってしまわないでしょうか。不満の声も相次いでいます。

最もいい解決策は、とにかく新たな蓄電池の開発です。日本発の製品を生み出そうと頑張っているところもあるので、国はそうしたところにこそ、より力を入れてはどうでしょうか。そして電力配分を効率的にできる仕組みも欠かせません。

問題の根は、そもそも日本のエネルギー政策において、予算配分など基本的な体系が変わっていないことにあるようです。

以前、毎日新聞の報道で各国がエネルギー政策の予算配分を大きく変える中で、日本だけが変えられていないことが報じられていました。今回の記事はシンプルな「集計」に基づいたものですが、日本の政策の在り方を根本から問うものになっています。(熊)