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鹿児島県警不祥事で浮上してきた「警察庁への内部告発」と地元メディアの執念

鹿児島県警の内部告発事件で新展開がありました。

今年5月、鹿児島県警の前の生活安全部長が、捜査情報が記載された文書を北海道の月刊誌記者に送付したとして、国家公務員法違反の容疑で逮捕されました。

しかし、これは県警署員による盗撮事件の捜査で「本部長による隠蔽があった」という告発する目的であり、内部告発潰しの疑いが指摘されています。

さらに、鹿児島県警が別の署員による情報漏洩事件で福岡市のウェブメディアを家宅捜索して押収した告発資料をもとに県警が前部長を逮捕したことも、取材源特定のための強制捜査は報道の自由への重大な侵害だとして問題になっています。

今回、逮捕された生活安全部長が、在職時に、全国の警察を指揮監督する警察庁の内部通報窓口に宛てて別の問題の告発文を送っていたことを、KKB鹿児島放送がスクープしました。

この告発への反応がなかったことから、事件となった不祥事の告発先としてメディアを選んだとみられる、とKKBは報じています。

これが事実であるならば、鹿児島県警だけはなく警察庁そのものに、身内の不祥事や内部告発に対する対応に問題がある疑いがあります。

警察庁は、前生活安全部長から「職員の犯罪行為を隠蔽しようとした」と名指しで訴えられていた鹿児島県警の野川明輝前本部長を11月に異動させ、不祥事の説明責任を話さないまま幕引きを図ったのではないか、という指摘をされています。

そのうえで、今回、警察庁そのものに疑惑が浮上してきました。こちらも、きちんと経緯を説明するべきでしょう

そもそも鹿児島県警は、盗撮事件の捜査の過程、 告発文書を「公益通報ではない」として握りつぶそうとした判断、ウェブメディアへの家宅捜索の理由について、それぞれの経緯について説明責任を果たしていません。

鹿児島県警も警察庁も、組織そのものの問題にメスをいれないまま、うやむやにしようという姿勢が感じられます。それ抗い、しつこく核心に迫り続ける地元メディア記者の姿勢には期待をしたいです(瀬)

このコラムは、あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしいという方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツなどをおすすめしています。