【自民“第2の裏金”を追及する⑥】鳥取県連のさらなる不記載、石破首相や会計責任者を追加で刑事告発
自由民主党の鳥取県支部連合会(鳥取県連)で発覚した「支出の不記載」が疑われる問題に関し、神戸学院大学の上脇博之教授は10月23日、新たに見つかった2020年と2021年の支出不記載について、鳥取県連代表の石破茂首相や県連の会計責任者ら3人を政治資金規正法違反容疑(不記載、虚偽記載)で東京地検に刑事告発した。上脇教授はすでに2022年分について刑事告発しており、今回は追加での告発となる。
フロントラインプレス
この問題は、自民党の各支部の政治資金収支報告書には県連からの交付金収入があったと記載されているにもかかわらず、それに対応する支出の記載が県連の収支報告書に存在しないというもの。支部側は出所不明の資金を県連から受け取った形になっており、県連は“裏金”から支出したのではないかとの疑念が出ている。
今回の告発状によると、鳥取県連の「支出不記載」とみられるのは、2020年分が27件・総額56万5650万円、2021年分が17件・総額60万1190円だった。
これらの支出を県連が収支報告書に記載していなかったことについて、告発状は「それが実際に支出された以上、少なくともそれに相応する収入が別にあったことになる(実際にはその金額よりも多い金額が別収入としてあった可能性が高いだろう)」と指摘。しかし、県連の収支報告書の収入欄にその明細が記載していなかったため、「これは裏金収入だったことになるから、政治資金規正法違反に該当する」としている。
また告発状は、自民党の派閥の各政治団体による裏金づくりは上脇教授による刑事告発を契機とし、東京地検がその実態を「悪質だ」と判断したからこそ摘発されたものだと言及。そのうえで、“第2の自民党裏金”とでも言うべき鳥取県連の状況について「裏金づくりの悪質性を踏まえ、捜査を尽くして裏金の原資を解明し、被告発人らを厳重に処罰すべきであると判断して起訴していただきたい」と結んでいる。
一連の県連の疑惑は、フロントラインプレスの取材によって最初に鳥取県連の2022年分で発覚。その後、神奈川県連(小泉進次郎代表)でも同様のケースが発覚している。上脇教授はすでに鳥取県連と神奈川県連の2022年分について、県連に支出の不記載があったとして刑事告発している。
一方、自民党群馬県連でも2020年から2022年の3年間で約670万円の出処不明金が見つかったと「週刊文春」が報道しており、こうした問題は全国の自民党で生じているのではないかとの指摘も出ている。
フロントラインプレスはこの第2の裏金疑惑について取材を継続中。随時、スローニュース上で発信しています。