【自民“第2の裏金”を追及する①】石破首相が代表の鳥取県連には記載なし!出所不明の支部への交付金は「裏金」なのか
自民党を揺るがした、派閥のパーティ券収入の裏金化問題。しかし、それとはまた別の、全国の「自民党の都道府県連と支部」を舞台にした“第2の裏金”ともいうべき構造的な疑惑が、新たに浮かび上がった。
首相に就いたばかりの石破茂氏が長く代表を務めている「自由民主党鳥取県支部連合会」(自民党鳥取県連)。そこから鳥取県内の自民党各支部が受け取った交付金に関し、各支部の政治資金収支報告書には収入の記載があるにもかかわらず、県連側には支出の記録がないケースが多数存在することが、調査報道グループ・フロントラインプレスの取材でわかった。こうしたケースは、2022年分だけで少なくとも計22支部で30件に及んでおり、総額は128万8710円に上っている。
鳥取県連と傘下の各支部はいずれも政党支部であり、政治資金規正法の規定によって資金の出入りは「政治資金収支報告書」に正確に記載しなければならない。支出と収入の記録が合致しないケースは相当数に達しており、ケアレスミスや偶然とは思えない広がりを見せている。
「県連から資金を受け取った」とする各支部の記載が正しいとすれば、鳥取県連はどこからその資金を出したのか。県連は収支報告書に記載していない資金、つまり“裏金”から各支部に交付金を渡していた疑いもある。
鳥取県だけではない、こうした疑惑は各地の県連と支部との間でも見て取れる。
フロントラインプレス
1年分だけで128万円の出所不明の収入が存在
フロントラインプレスは鳥取県選挙管理委員会が公表している政治資金収支報告書(2022年分)などを分析する過程で、こうした事実を把握した。
「支部側には県連からの入金記録があるのに、県連側には支出の記録がない」という支出の不記載の詳細は別表の通り。
“出所不明”の資金を県連から受け取ったとする支部を具体的に見ていこう。
それぞれの政治資金収支報告書によると、例えば、「自由民主党鳥取市賀露支部」は、2022年に6回に分けて鳥取県連から合計35万6250円の交付金を受け取っていた。このうち、5月23日の5万円、6月3日の5400円、10月27日の5万2000円については、賀露支部の収入欄と鳥取県連の支出欄の双方に合致する記載がある。
ところが、1月6日の5万200円、3月25日の12万5650円、8月5日の7万3000円に関しては、賀露支部の政治資金収支報告書には収入として記載されているものの、これに対応する鳥取県連の支出は収支報告書に存在しなかった。
石破氏の地元である八頭町の「自由民主党鳥取県八頭郡第1支部」でも同様のケースが見つかった。八頭郡第1支部は1月6日と10月27日に鳥取県連から10万円ずつ受領したと記載しているが、鳥取県連の収支報告書に支出の記載があったのは10月27日だけ。1月6日の10万円については県連に支出の記録がなかった。