2021衆院選・全候補の「公費請求」をまとめたExcelデータを公開!そこから読み取れるのは…ぜひ使ってください
フロントラインプレス
選挙ポスターやビラを徹底検証
日本大学の安野修右研究室と調査報道グループ「フロントラインプレス」、およびスローニュースは、2021年衆院選における「選挙運動費用収支報告書」を網羅して収集し、広く公開するにあたり、全体傾向や問題になりそうな個別事例の分析・取材も同時並行で手掛けている。
選挙ポスターやビラなどに関する具体的な調査方法は以下の通りだ。
全国47都道府県の選挙管理委員会に対する情報公開請求で入手した選挙運動費用収支報告書(857人分)をひもとくと、公費請求の金額が記載されている。
公費負担の項目が6項目。
①選挙ポスター
②選挙ビラ
③選挙はがき
④選挙事務所用の看板
⑤選挙カー用の看板
⑥個人演説会用の看板
まずは、それら6項目の金額を目視で読み取り、エクセルのセルに入力。さらに、各項目の①作成単価 ②作成枚数 ③総額 ④業者名 ⑤業者の住所の5項目についても、同じようにエクセルに記入した。
OCRで文字の読み取りが困難な報告書も多く、集計の自動化はそう簡単ではない。そこで今回は手作業に頼ることにした。
全候補者を対象とした場合、記入すべきセルの数は「857人×6項目×5項目=2万5620個」になる。公費請求できる者は一定の得票率を確保し、供託金の没収を免れた者に限られている。2021年衆院選の場合、供託金を確保した候補者は711人。このケースに限定したとしても、埋めるべきセルの数は「711人×6項目×5項目=2万1330個」という膨大なものになる。
そのため、今回の調査では「安野ゼミナール」所属の学生と協力しながら、まずは「2万5620個」のデータすべてを入力することにした。その過程では、学生への指示ミスや単純なケアレスミスも生じ、その都度、修正を余儀なくされた。そもそも、収支報告書には候補者側の記載ミス、表記ゆれ、手書きの資料(共産党候補に多い)なども多数存在している。それらに遭遇するたび、作業は中断した。
全候補の公費請求の実態をまとめたExcelデータを公開!
こうした結果、まとめ上げたのが別表である。
安野研究室とフロントラインプレス、スローニュースの三者は今回、2021年衆院選の選挙運動費用収支報告書をすべて公開し、一定の手続きを経れば、誰でも原本を閲覧できるようにした。これ自体が極めて画期的であるが、ここで示した別表も過去に類を見ない試みだと思われる。
この別表から何を読み取ることができるのか。フロントラインプレスによる取材の成果は今後、随時報じていくが、他の多くの取材者や研究者にこうした素材を活用してほしいと願っている。
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