国家安全部が悲観論エコノミストを脅す中国で「GDP5.2%成長」「若年層失業率20%」の経済統計をどう読めばいいのか
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情報機関が異例の口出し、閉塞感つのる中国経済
国際情勢のリスク分析を行う米調査会社「ユーラシア・グループ」が発表した今年の「10大リスク」でもあげられているのが、中国経済の低迷。不動産バブルがはじけた様相もあり、その行方は気になります。
そんな中、中国政府の国家安全部がウィーチャットをつうじて、中国経済に関して悲観的な言論を厳しく批判するメッセージを発信し、中国のエコノミストたちを震えあがらせていると、東京大学社会科学研究所が運営する「中国学.com」で丸川知雄・同研究所教授が指摘しています。
スパイ活動や反諜報活動にあたる政府機関が厳しい口調で経済学者たちに警告する背景にはなにがあるのか、という分析も興味深いのですが、それ以上に、さまざまな経済統計をどうみるか、という分析がおもしろい。
中国政府が発表した昨年の経済成長率5.2%について、中国国内の経済学者からも疑問の声があるが、はたして信用できるのか。若者の失業が20%にものぼり、「中国の若者は5人に1人が失業」という記事まで出ているが、それは本当なのか。ーーといった問題についての指摘は、腹落ちします。
政府発表のデータが信用しにくいからこそ、悲観論や楽観論など思い込みにひきづられがちな経済の見方について、あらためて冷静に統計を見る、数字を比較することの重要性がよくわかる記事でした。(瀬)