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テレビCMも!総資産2000億円の不動産小口化商品に疑念を示した投資家向け専門サイト

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

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建物がないのに利回り7%、「みんなで大家さん」高配当の謎

「みんなで大家さん」という不動産投資商品をご存知でしょうか。一口100万円、想定利回り6〜7%をうたった商品で、テレビCMなども行われ、広く投資家を募っています。

共⽣バンクのグループ会社である都市綜研インベストファンドが運営する「みんなで大家さん」はサービス開始以来15年を重ね、同社によれば組入総資産は2,000億円を超え、延べ25,000人以上のぼるといいます。

この「みんなで大家さん」の運用が不透明ではないかという指摘を、投資家向けに物件情報などを提供する「楽待不動産投資新聞」(楽待新聞)というオンラインサイトがしています。

楽待新聞を運営しているのは東証プライム上場企業のファーストロジック社。同社は投資用不動産に特化した不動産ポータルサイト「楽待」を運営し、投資家向けに物件情報などを提供するサービスをしています。そのひとつである同新聞では、編集部による独自取材記事も作成しており、この記事もそのひとつです。

2017年に不動産特定共同事業法が改正されて事業者の参入がしやすくなったことから、不動産を小口化して販売する「不動産小口化商品」(以下、小口化商品)は最近、増えています。多くの商品が事業者が資金を集めて不動産を取得し、その賃料収入などを投資家に分配金として還元する仕組みです。

「みんなで大家さん」も不動産小口化商品のひとつで、会社によれば、これまで約70件の商品を販売し、そのすべてで元本評価割れなしを実現しているといいます。

今回、楽待新聞が指摘しているのは主力商品のひとつ「シリーズ成田」というファンドです。現在販売されているのは「みんなで大家さん 成田18号」という商品です。千葉県成田市の山林などが投資対象で、その土地を観光施設などとして開発することで収益配分が行われるスキームなのですが、その開発、建設が遅れているというのです。

楽待新聞は、ほかにもスキーム自体が特殊でその説明が投資家に充分理解されていない懸念や、物件購入費が異様に高いことなどを指摘しています。それに対し、共⽣バンク側からも記事中で反論をしています。また、解約などもスムーズに行われていると、楽待新聞も報じています。

投資ブームが起きている中で、2000億円ともいわれる巨額ファンドへの懸念が今後払拭できるのか、気になります。

あらためてSNSやYoutubeを見てみると「みんなで大家さん」に対する不安や疑念の声は少なからず見られます。一方で、新聞やテレビなどでは、そうした報道や検証をする記事は見当たりませんでした。

大手メディアが扱わない情報に専門サイトが切り込む、新しい動きだと感じました(瀬)