どこでも見かける「ネパール人が経営するインド料理店」の謎から移民社会の課題に迫っていく
あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。
きょうのおすすめはこちら。
カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」
日本のいたるところでよく見かける格安のインド料理店。実は、そのほとんどがネパール人の経営なのだそうです。
なぜ日本にネパール人が経営するインド料理店、通称「インネパ」は日本で5000店以上ともいわれています。なぜ、そんなにもあふれているのか。
ちょっとした疑問からスタートし、結果、日本中、あるいはネパールまで徹底的に取材した傑作が、フリージャーナリスト室橋裕和さんの『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』(集英社新書)です。
ネパール人がなぜ日本でカレー屋を開くのか。純粋なインド料理でもネパール料理でもないのに、なぜそのメニューはどれも似ているのか。もしかすると、ネパール人のドンがいるのか。
読んでいくとそんな疑問が浮かぶのですが、それを室橋さんがつぎつぎに徹底した取材で解き明かすろ同時に、そこから大量の出稼ぎに依存するネパールの国情や日本でのネパール社会の抱える課題に踏み込んでいきます。
気楽な気持ちで開いた本が、途中でやめられなくなってしまいました。
ときどき通っているインド料理店が、これまでとは違って見えてくる一冊です(瀬)