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中国のインターネットから消された『改革家習近平』から読み解く「一強体制の揺らぎ」

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中国・夏の乱、「改革家習近平」打倒の裏に長老の反発

盤石のようにみえる中国の習近平国家主席による支配体制。しかし、その足元は揺らいでいるのではないか、という日本経済新聞中沢克二編集委員の解説が、話題になっています。

焦点になっているのは7月15日に中国国営通信の新華社が配信した「改革家習近平」という長文の論評です。この日から始まった党中央委員会第3回全体会議(3中全会)にあわせて発表されたものです。

習近平国家主席の父親の代にまでさかのぼり、その「改革の歴史」を位置づけることで、習体制の権威をさらに高めようとしたと見られています。

しかし、それに対し、「書いてあることと事実が違う」「公式の共産党史と一致していない」という反発が党内で起こり、表面化。結局、この論評は党機関紙、人民日報など紙媒体に掲載されなかったというのです。

さらには中国内のインターネット上からすべて削除されており、なかったものとなっていると、この記事は伝えています。

この背景にはなにがあるのか。中国でなにがおきているのか。これからなにがおきようとしているのか。ーー中沢編集委員は、なかなか表には出てこない中国の「奥の院」で起きている権力闘争を公開された情報と独自のソースで分析をしています。

ボーン・上田国際記者賞も受賞した中澤氏の分析は、海外のメディアの記事に負けない、専門家らしい読み応えがある記事です(瀬)