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2位の高市早苗元大臣の3倍もフォロワー数を増やした玉木代表の成功で「選挙戦のネット化」はますます加速する

玉木雄一郎・国民民主党代表は今回の衆院選中にXのフォロワー数を3万近く伸ばし、衆院選全候補者の中で2位の自民党・高市早苗元経済安全保障担当相の約8600 に比べ3倍を超えて圧倒的1位でした。

今回の衆議院選挙で議席数を大きく伸ばし、キャスティングボートを握る存在になった国民新党、その躍進の原動力がネット、とくにSNSと動画であることを、共同通信の47Newsがあらためて分析をしています。

特に興味深かったのが冒頭で紹介をしたXの分析です。候補者ではない榛葉賀津也幹事長のフォロワー数も急増したといいます。

また選挙期間中のユーチューブ動画再生数も玉木氏は圧倒的で、228万回と2位の100万回を下回る2位を大きく引き離しています。

そのネット戦略が大きく影響したのが比例区だと見られています。今回の衆院選で国民民主党が比例代表で617万票を獲得しました。小選挙区での総得票数234万票です。その大きな差は候補者を出していない選挙区でも、比例票で獲得したことが大きいのです。

玉木代表自身、都知事選挙で躍進をした石丸伸二氏のネットを使った選挙運動を分析したことを公言しています。

NHKがこんな興味深い分析をしています。国民民主党の動画にコメント書いたアカウント約1万1000のうち1割にあたるおよそ1500のアカウントが石丸氏の動画にもコメントを書き込んでいて、ほかの政党を大きく上回っていたというのです。さらに、こう指摘します。

共通して書き込んでいたユーザーのコメントを集計すると、「素晴らしい」「面白い」などポジティブな言葉の割合が高いことも分かり、石丸氏と国民民主党の動画を視聴し支持していた層が一部重なっていた可能性もうかがえます

これに追随する動きは今後ますます広がり、ネット戦略は選挙にとって大きな影響をもってくることでしょう。

投票者が候補者についてさまざまな情報を得る機会が増えることは、とてもいいことです。これまでのメディアでは得ることができなかった情報を知ることができます。若い世代への影響も期待できます。

一方で、それをハックしようという動きには注意が必要です。

選挙に大きな影響を持つようになったXは、陰謀論や差別を拡散するアルゴリズム、コンテンツの品質コントロールのあり方が問題になっていて、欧米のメディアの中からは離脱する動きも広まっています。

プラットフォームに期待できたいことを前提に、今後、選挙におけるネットのあり方、SNSの運用をどうしていくのか、これを議論し、考えて、必要であれば対策をしていくことも喫緊の課題になってきています。(瀬)

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