水質汚染の異常値は「隠蔽」されたのか、 岡山・吉備中央町で疑惑の関係者を直撃した
フリーランス 諸永裕司
異例の補正予算案が12月20日、岡山県吉備中央町の議会で可決された。
<特別損失 115,710(千円)>
同町では少なくとも3年あまりにわたり、きわめて高い濃度のPFOAを含んだ飲み水を522世帯(約1千人)に送っていた。発がん性のある化学物質が入った水を飲ませていたことから、町は支払われた水道代(合計1億1571万円)を住民に返すというのだ。
なぜ、前代未聞の事態は起きたのか。
元水道課長が証言した「PFOA見落とし」の経緯
「PFOAとか言われても、どんな物質なのか知りませんでした。こうなるまで耳にした記憶もなくて」
元水道課長はそう語った。彼には、思い出す光景があるという。
昨年秋、退庁間際にタイムカードを押そうと席から腰を上げたとき、ある職員が近づいてきた。水道技術管理者の資格を持つ参事(課長級)だった。