「みんなの前で首をキメて倒す実験台にされて、そのままベッドに倒され…」五ノ井里奈さんが性暴力の直後に周囲に語った内容とは
岩下明日香
「いま、ここに被告人として座っている3人は、私の憧れの対象でした……」
陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県郡山市)に勤務していた五ノ井里奈さん(24)は、10月30日に福島地方裁判所(三浦隆昭裁判長)で行われた結審で被害者として思いを語った。
検察側はその中で、五ノ井さんが事件直後に被害の内容を第三者に相談していた記録が残っていて、当初から一貫していることを理由に、供述は信用できると主張した。その相談内容とはどんなものだったのか。
3被告は「謝罪する意思はなかった」と
強制わいせつ罪に問われている元自衛官の渋谷修太郎(30)、関根亮斗(29)、木目沢佑輔(29)の3被告は、2年前の8月、北海道矢臼別演習場の宿舎で宴会中に五ノ井さんを格闘の技で押し倒し、性行為を思わせるように下半身を押しつけるなどのわいせつ行為をしたとして、2023年3月17日に在宅起訴された。
五ノ井さんは被害者参加者制度を利用して、犯行を目撃していた元同僚や被告人らの証言を傍聴してきた。2回目の公判では、元上司が証言をしている最中に倒れて救急搬送されたが、その後の公判に参加し続けていた。
被告人質問では、被告はいずれも1年前の10月17日に行った直接謝罪について、自衛隊側からの指示であり、渡した謝罪文も事前に自衛隊の添削を受けていて、謝罪する意思はなかったと答弁した。
「あの謝罪は何だったのか、言い表せないほどのショック」
被告らの答弁を聞いてきた五ノ井さんは、結審で「非常に傷ついた」と意見陳述した。
「あの謝罪は何だったのか。彼らの謝罪に噓偽りがなかったと思いたいとう気持ちがあふれるばかりで、目の前で繰り広げられる被告人質問の答えを受け入れることができませんでした。
被告人3名が法廷の場でも反省して認めてくれると信じ、希望をもって挑んできました。
しかし、被告人たちは、公判で私が嘘をついていると言い、反省とは真逆に私の心を引き裂くような答弁をし、自分に都合の悪いことは『記憶がない』とごまかしていました。元上司や隊員の方々があれだけ目撃証言をしていたのに。
被告人本人たちの言い分を前提としても、私は被告人たちに笑い者にされたのに、なにか悪いことをしたのかと言わんばかりの態度に言い表せないほどのショックに襲われています」
「セクハラ行為に疲れた。無理」五ノ井さんが被害直後に周囲に伝えていた内容とは
事件直後に五ノ井さんは、周囲に被害のことを伝えている。その内容は一貫していると検察は主張した。
まず、被害を受けた2021年8月3日の翌日に、母親へ「もう辞めます。セクハラ行為に疲れた。無理」とメッセージを送っていた。
さらに、3日後の8月6日には……