「3割が兼職」、「選挙のたびに記録も破棄」という国会議員『公設秘書』の不透明な実態
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公設秘書250人が兼職 地方議員、労組、企業… 毎日新聞調査
国会議員の公設秘書は国費で給与が支払われていて、兼職は国会議員秘書給与法で原則禁じられています。しかし、実際には、与野党合わせて全国会議員のうち3割が、秘書の兼職を認めていることが毎日新聞の調査でわかりました。
兼職が禁じられている公設秘書ですが、議員が認めれば許可される例外規定があります。秘書の生活は選挙の当落で左右されるため安定しないという事情が考慮され、職務に支障がないと議員が判断すれば兼職できるという例外規定が設けられたといいます。
毎日新聞は、日本維新の会の池下卓衆院議員が地元市議を任期中に公設秘書にしていることを、9月18日に報じました。池上議員の場合は、兼職について必要な衆議院議長への届け出を出していませんでした。このスクープは「今日の必読」でも取り上げています。
今回、毎日新聞は国会に提出されていた兼職届を衆参両院の事務局で閲覧、分析し、全国会議員の実態を調査しました。
この兼職問題については、情報公開もかなり問題があります。兼職届は国会内での閲覧はできますが、写しの交付はできません。驚くことに、選挙のたびに記録は廃棄されてしまいます。任期中でも兼職が解かれた時点で閲覧の対象外になります。
「かたちばかり最小限の公開はするけれど、詳しくは調べられたくはない」ということでしょうか。
きわめて不透明で不可解な情報公開もふくめて、議員同士でお手盛りで行われてきたとみえる公設秘書のあり方、仕組みを見直す必要があります(瀬)
(毎日新聞2023/9/27)