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自民“第2の裏金”疑惑、文春も群馬県連と支部の記載の矛盾を報道…そして岡山県連でも指摘されていた!

フロントラインプレスの取材により提示された、自民党の“第2の裏金”ともいうべき疑惑。10月10日からスローニュースで掲載しています。

これまでに報道したのは、石破首相が代表を務める鳥取県連と、小泉進次郎氏が代表を務める神奈川県連をめぐる問題。県連側の政治資金収支報告書に交付金支出の記載がないのに、複数の支部で受け取ったという記載があったというものです。

報道を受け、神戸学院大学の上脇博之教授が、石破首相や小泉氏らを政治資金規正法違反容疑(不記載、虚偽記載)で東京地検に刑事告発しました。

小渕優子・組織運動本部長が代表 自民党群馬県連で約670万円が裏金化か 県連は支部に訂正を指示《政治資金規正法違反の疑い》

これを受けて、文春オンラインが16日、今度は小渕優子氏が代表の群馬県連でも県連側に支出の記載がないのに、支部の側にだけ交付金の記載があるケースを報じました。

ただ、これに関しては、県連側は「支部が集めた党費の還付分であり、党費の記載欄に記載すればいいものを、交付金の記載欄にも誤って二重計上してしまった」と説明しています。

この説明が正しければ、県連側で「裏金」のようなものを捻出したわけではなく、支部側の記載ミスということになります。とはいえ、これだけあるものを「ミス」といって済ませていいものかとも思います。民間企業ならば、会計上、決して許されるものではありません。

鳥取県連や神奈川県連からはいまだに詳しい説明はありませんし、問題の根底には様々なケースが考えられます。とにかく政治団体間の金銭のやりとりに関しては、全て明確に記載するルールであり、それがなされていないこと自体が大きな問題です。

“第2の裏金”は岡山県のケースでも報道が

こうした県連と支部との間での“第2の裏金”ともいえる交付金の矛盾、実は3年前の2021年6月21日にも、NHK岡山放送局がスクープしていました。(ローカルニュースのみだったので、現在はどのアーカイブにも残っていません)

このケースは、自民党岡山県連の収支報告書には交付金を支出した記載があるのに、受け取ったはずの支部の側に記載がないというものでした。いずれも県議が代表を務める5つの支部で、30万円~130万円が記載されていませんでした。派閥マネーの不記載とよく似たケースで、それこそ「裏金化した」と指摘されても仕方のないものです。「記載漏れ」で済ませていいものではありません。

実は、そのスクープの原点になったような報道があります。

「県連と支部」ではありませんが、業界団体などの政治団体の収支報告書には寄付やパーティー券購入の記載があるのに、国会議員側の政治団体には記載がないというケースを徹底的に洗った報道です。65人の国会議員の政治団体で、3年間に94件、5704万円分の不記載があったことを報じています。

さらに、この報道にもモデルになったものがあります。

大阪・堺市の竹山市長(当時)の後援会が、市長選を支援した団体からの寄付など600万円余りを記載していなかったという、2019年のNHK大阪放送局のスクープです。最初の報道では不記載の額は600万円余りでしたが、最終的には2億3000万円に膨れ上がり、市長は辞職。大阪地検特捜部が立件して竹山氏は有罪判決を受けました。

NHK政治マガジンより

今回紹介したいずれの報道も、取材手法は共通しています。報道というのは、地道な作業を積み上げていくことで広がり、新たな局面が見えてくるものです。今回のスローニュースでの報道をきっかけに、問題の本質を追及し、いまだに透明化されていない政治資金の在り方を根本から見直す機運が高まってほしいと思います。(熊)