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「官房機密費から選挙資金」「首相が候補者に裏金100万円」…スクープを連発する中国新聞が示す「地方紙の底力」

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

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「国政選挙で機密費から100万円」元官房長官が証言 陣中見舞いに現金

自民党政権で官房長官を務めた元政権幹部が、国政選挙の候補者に選挙の陣中見舞いとし内閣官房報償費(機密費)から現金を渡していた、と証言したことを中国新聞が5月10日に報じました。

機密費は国政の運営上必要な場合に、官房長官の判断で支出される経費です。その使途は機密を理由に公表されていません。しかし政党の選挙への使用は目的外使用の可能性があります。中国新聞の取材に、元官房長官は不適切な支出だったと認めています。

本来、国政のために使われるはずの官房機密費が、政党の選挙の「陣中見舞い」に使われていることは、2023年12月、朝日新聞が河村建夫元官房長官のインタビューの中でスクープ。スローニュースでも紹介をしています。

今回の証言者が、やはり河村元長官かどうかはわかりませんが、自分自身が100万円を選挙中に陣中見舞いとして持っていたという、より具体的な状況を明らかにしています。

中国新聞は、その前日の5月9日にも2013年7月の参院選で安倍晋三自民党総裁(当時)が、東日本の選挙区で党公認候補に現金100万円を渡していた疑いをスクープしています。安倍氏やその候補者が関係する主な政治団体などの収支報告書にはいずれも100万円の記載はありませんでした。

この100万円の出どころもやはり機密費だったのか。気になります。

中国新聞は河井克行・案里夫妻による大規模買収事件をきっかけに、政治とカネについての調査報道に力を入れ、スクープを連発しています。

一連のキャンペーンを手掛ける『「決別 金権政治」取材班』の執念には、地方紙の底力を感じます。(瀬)