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国の事業受注業者が公示前日に沖縄自民の2議員に同時献金、「公選法に抵触」認める議員と認めない議員

【10秒要点チェック】

  • 公選法違反の疑いがある「特定寄付」。選挙めがけて沖縄の自民議員への献金が集中していた

  • 国と契約していた企業から公示前日に2人の議員に同時に献金。1人は法への抵触を認め、もう1人は認めず

  • 受注業者の献金は過去にも指摘。なぜ問題が繰り返されるのか

取材・執筆 フロントラインプレス


【前回のおさらい】

フロントラインプレスは前回の記事で、沖縄の自民党国会議員が代表を務めるそれぞれの自民党支部が公職選挙法の規定に反し、国と契約関係にある企業から選挙に合わせて多額の寄付を受け取っていた事実を明らかにした。総額は2021年までの10年間で総額2040万5000円に達していた。

最も多かったのは10件・695万円を企業から受け取った島尻安伊子氏だった。島尻氏は、巨費を投じて建設中の辺野古新基地や北部振興などで継続的に国のカネが流れ込む沖3区から選出されている。

政府部門の事業を担う民間企業から自民党議員へのカネは、どのように流れているのか。自民党政治資金パーティーの裏金化を東京地検特捜部に刑事告発した上脇博之・神戸学院大学教授の監修を受けながら進めているフロントラインプレスの調査は、引き続き「特定寄付」の実態に迫る。

選挙に向けて集中していた献金

公職選挙法199条は「衆議院議員及び参議院議員の選挙に関しては国と、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に関しては当該地方公共団体と、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない」(特定寄付の禁止)と定めている。違反した者はカネを提供する側の企業も受け取った政治家側も、禁錮3年以下・罰金50万円以下の刑事罰の対象となる。

フロントラインプレスは「自民党と企業のカネ」の関係を明らかにするため、沖縄の自民党国会議員5人を対象に、2012〜2021年の10年間に及ぶ政治資金収支報告書を調査した。そのうえで、官公庁のオープンデータを探索。各省庁などが民間企業に発注した契約状況などを調べ、国と契約関係にある企業がいつ、いくら献金したかを調べ上げた。

その結果は下の別表のようになる(敬称略)。

ここから先は会員限定です。特定寄付と疑われる献金がどのように行われていたのか、その詳細を明らかにします。

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