結局、あの議員の裏金はいくらだったの? 報道やオープンデータを徹底的に収集した情報公開クリアリングハウスの一覧がすごい
あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。
きょうのおすすめはこちら。
リストは提出されたけれど…
自民党を揺るがしているパーティー券収入の裏金化問題。自民党は1月5日に、政治資金収支報告書に不記載があった議員のリストを野党側に示しました。
その一覧をそのまま掲載したのが、こちらのNHKの記事です。しかし顔写真を全て並べるという演出はよくやりましたね。すごいインパクトです。
しかし、このリストをめぐっては、
「3年分しかない」
「具体的な記載がない」
「政治資金収支報告書の訂正をまとめただけだ」
などとの批判が野党側から相次ぎました。
そうなんです。収支報告書の記載だけでは、裏金の実態は分からないのです。訂正された金額と、検察の捜査で明らかになった金額などが必ずしも一致しているわけではありません。
そんなモヤモヤがある中で登場していたのが、こちらです。
政治資金パーティー収入 裏金はおいくらでしたか?(裏金国会議員一覧)
情報公開クリアリングハウスが、政治資金収支報告書の訂正の情報だけでなく、報道ベースで明らかになった数字なども含めて、確認できたものを徹底的にまとめてリスト化したものを発信してくれました。
収支報告書で訂正された金額と、そこから漏れているのがいくらになるのかもわかるように一覧にしてくれています。
さらにいいのは、金額の根拠となったソースの報道へのリンクも張られていて、確認できること。見落としがあるといけないと、情報提供も呼び掛けています。
なぜこのような取り組みをしているのか。説明を簡単にまとめると、こういうことのようです。
検察の捜査で起訴されれば、裁判で裏金の金額はわかる
しかし不起訴や事件化されないと、金額は分からない
なぜなら捜査の過程で得た情報は情報公開の対象外だから
刑事事件として裁判にならないと確定記録にならず、そもそも情報公開請求ができないということなんですね。事件化しなかった議員の情報は、うやむやになってしまいます。
情報公開制度の専門家ならではの視点。とても重要な取り組みです。(熊)
(情報公開クリアリングハウス 2024/1/26)