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闇に隠れていた兆単位の「予備費」、その使途が追える管理簿の存在が発覚

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

使途追えないはずの予備費、管理簿が出てきて…省庁「個人メモです」

国の予算は、民主党政権時代に「行政事業レビューシート」ができて以来、一定程度の透明化が図られましたよね。

しかしそれでも全く見えなかったのが、「予備費」です。そもそもこれは政府の裁量で何とでも使えてしまうおカネ。だからこそ、何にどう使ったかは国民に知らせてしかるべきなのに、大ぐくりにどう配分したかは国会に書類が提出されるものの、詳細な使途はわかりません。

私も以前は会計検査院の幹部から、「あれは大きなタライに注がれてしまっているので、追跡できない。カネの色が混じって泥水みたいになってしまっている」と聞かされていました。

ところが、会計検査院がこのほど調べてみたところ、実は予備費の使途がわかる「管理簿」がつけられていたというのです。

朝日新聞のこちらの記事によると、

6府省18事業に配られた約3兆7千億円の全額が使われずに翌年度に繰り越されていたことや、別の事業に「流用」していた事例などが見つかった。

とのこと。やはり記録があるのなら、検証できるように公開するべきではないでしょうか。

国の予算をめぐる優れた調査報道といえば、日本経済新聞の『国費解剖』がよく知られていますが(私もこれがあったせいで、日経の有料会員になりました)、この報道でさえ、予備費については「使途を追い切れない」としていました。続報、期待しています。

国の予算については、国民に対して十分に説明責任を果たしているといえる状態ではありません。オープン化に真摯に対応していただきたいと思います。(熊)