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災害前線報道ハンドブック【第4章】復興フェイズ③復興予算の調べ方

スローニュース 熊田安伸

前回は東日本大震災の復興予算問題に気づくまでの取材経緯をご紹介しました。今回はいよいよ具体的な調べ方とその結果について解説します。


役に立ったのは「事業仕分け」のための道具

復興予算の分析は、以前ならかなり難しかったかもしれません。それが可能になったのは、当時の民主党政権が「事業仕分け」を始めたからでした。

「事業仕分け」こと行政事業レビューは、国の約5000の事業すべてについて各府省が点検・見直しを行うもので、予算を無駄遣いしていないか、事業が効率的に行われているかを国会議員や専門家も一緒になってチェックする取り組みです。蓮舫議員が放った「一番じゃなきゃダメですか」などの発言は大きな話題になったので、覚えている人もいるのではないでしょうか。

その事業仕分けを効率的に行うために作られたいわば道具が「行政事業レビューシート」です。

事業シートが登場するまで、予算の取材は財務省のレクの時に出される大雑把でわずかな資料が頼りで、詳細を知るには情報公開を繰り返して各種の資料を入手するしかありませんでした。

「事業仕分け」は政権が自民党に移ってからも「秋のレビュー」として継続しています。このシートができたおかげで、見えにくかった国の予算を事業ごとに検証できるようになりました。

行政事業レビューシートで何が分かるのか

「行政事業レビューシート」には、事業の目的や概要、予算額、成功目標などが詳細に書かれています。東日本大震災の復興関連事業も例外ではなく、事業ごとにレビューシートが作られました。

シートは各省庁のホームページで公開されていて、ダウンロードすることができます。内閣府の「政府の行政改革」のサイトには、公開ページへのリンクがまとめられていて、便利なのでブックマークしておくといいでしょう。

取材をするには、狙い目ともいうべきタイミングがあります。シートが公表される9月初旬です。11月に行革推進会議による検証が始まる前に、ぜひ入手して独自のチェックをしてみてください。

「政府の行政改革」ホームページより

復興事業のシートでは、特に「事業の目的」に「風が吹けば桶屋がもうかる」ような奇妙な理屈が書かれていることがあり、逆に省庁側の弱点にさえなっていました。

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