大阪社会部から傑作ノンフィクションを連続して生み出した敏腕デスクの記事に最後でひっくり返った
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きょうのおすすめはこちら。
バズり記事の裏側は? ダメ出し続けたデスクの真意
すごいデスクがいるものです。
ここ数年、共同通信の記者が書いた本が立て続けに話題になっています。
『母という呪縛 娘という牢獄』(講談社)
『ある行旅死亡人の物語』(毎日新聞出版)
が、それです。
どちらも、毎日のように新聞を賑わすような事件のひとつを深く、とことん掘り下げることで、人間の業や悲しさを描ききった、一度読み出すと止まらないノンフィクションです。
この作品はそれぞれ別の記者が書いたものですが、実はその記事をデスクとして担当した記者は、いずれも同じ人でした。共同通信の記者だった真下周さんです。
その内幕を書いた共同通信大阪社会部のnoteが、今日の必読です。
タイトルはネットのバズり方のスキルを教える、ありきたりの記事のようですが、中身はまったく違いました。
デスクとは、記者の原稿を読み、それを直したり、指導したりする、いわば編集者の役割を果たします。そして、この真下デスクがただものではないんんです。
熱いです。令和の時代、こんな熱いデスク、編集者はなかなかいないのでないでしょうか。
もちろんただ熱いだけではありません。真下さんは読者目線を記者にうえつけようとします。それは読者に媚びて、読みやすいようにわかりやすく単純化することではありません。
「複雑な世界を複雑なままに伝える」ことで、読者の知性に、好奇心に訴えようとするのです。
生成AIによる記事の作成なども現実となり、ますます厳しい環境におかれた通信社において、なにがこれから価値を生み出すのか、誰もが発信できる時代におけるプロの優位性とはなにか、それを感じる話でした。
長い投稿をウンウンうなづきながら読んでいたら、その最後でひっくり返りました。
それぞれが素晴らしい作品を残した記者たちが新しい世界に旅立っていくことは、悪いことではありません。人材の流動化自体は、記者にかぎらず有意義であることは言うまでもありません。
しかし、読者としてはこんなデスクの下で記者が情熱と執念で書いた記事をもっと読んでみたい、という思いは捨てがたいです(瀬)