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ドイツ企業が取り組む「グーグルに依存しない検索エンジン」の背景にある『安全保障』の重要性

グーグルが支配する検索市場に、ヨーロッパで新しい動きが出てきていることを、ロイターが紹介をしています。

広告収入の大半を植林・森林の再生活動に使うというドイツの検索エンジン「エコシア」が、フランスを拠点とするプライバシー重視の検索エンジン「クワント」と手を組み、「欧州検索パースペクティブ(EUSP)」を立ち上げました。

米国製プラットフォームに依存することは安全保障上の大きな問題があると、「エコシア」を率いるクリスチャン・クロール氏安全保障の問題があると語ります。

これまで欧州はエネルギーをロシアに、デジタル技術を米国に依存してきたと語るクロール氏は「米国がこうした重要技術の利用を遮断すれば、われわれ欧州人は『電話帳』(で検索していた時代)に戻らなければならなくなる。現時点ではグーグルないしマイクロソフトの多くのサービスの代わりは存在しない」と説明した。

また、EUSPを使えば、検索エンジンのお仕着せではなく、利用者がそれぞれの優先度に応じた検索結果を表示することが可能だといいます、

例えばエコシアは旅行手段として飛行機より鉄道を上位に置いたり、持続可能性のある素材を使った商品を購入する選択肢をより目立つようにしたりできる。

生成AIの発達により、グーグルやマイクロソフトが支配してきた検索市場は大きく変わろうとしています。一方で、これが新たなアメリカ製プラットフォーム依存を生む可能性もあります。

それに対し、EUでは安全保障上の観点からも、文化や個人の権利を保護するために新しい試みが始まっています。

ネット上にある、あるいはこれから出てくる膨大なデータをどう扱うかは、国はもちろん、個人にとっても重要な問題です。自分たちが自身の意思でグリップできることが重要です。EUの取り組みは、ひきつづき日本にとっても参考になる動きです。(瀬)

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