トランプ当選を支えた選挙アプリとは?安野貴博が見た「アメリカ大統領選から学ぶべきこと」
米大統領選の激戦州を歩きながら現地の本当の声を聞くロードトリップ。スローニュースではスマートニュースと共催したイベント「米国大統領選2024『現地調査』報告会」の様子を全3回にわたってお届けしています。
第2回は、2024年の東京都知事選で15万票獲得した人工知能(AI)エンジニアの安野貴博氏とスタンフォード大学教授の筒井清輝氏によるセッション。2人が語る「日本が米国の選挙から学ぶべきこと」「リベラルエリートが反省しなければならないこと」とは──。
ライター 石神俊大
コンサート化する演説会
AIエンジニアの安野貴博氏は、2024年7月の東京都知事選で15万票を獲得して大きな話題を呼んだ。注目を集めたのがテクノロジーを活用して民意を政策に反映する「デジタル民主主義」の実践だ。
そんな安野氏のセッションのタイトルは「米国大統領選挙から学べる選挙手法」。都知事選に出馬するまで政治とは無縁だった安野氏は、現地で米大統領選を体感し何度も驚かされたと語る。
「まず驚いたのは、個人演説会がコンサートのように行われることでした。日本の政治家の演説会は皆スーツ姿で、喋り終わったらすぐ解散します。しかし、米国はコンサートやライブのように演説会が開かれるのです。会場で売られているキャップやTシャツを買って参加する人も多いです」
さらに安野氏は、トランプ氏の語り口のスタイルについて言及した。
「トランプ氏が2時間以上もダラダラ喋っていました。特に印象的だったのは、その話し方。3分程度の小ネタを20〜30個話し続けるスタイルだったのです。一見メリハリがなく思えました。しかし、経済学者の成田悠輔さんによると、このスタイルの方がむしろ良いそうです。大きな論理展開を伴う演説だと途中でついていけなくなる人が生まれる一方、ランダムな小ネタが続くスタイルならば、集中力が切れて途中を聞いていなくても、すぐに話の内容をフォローできるからです」