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「フェイクニュース法」が危ない。定義があやふやで運用する側が決めつけて投獄も…政府批判の封じ込めに利用

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

最長で禁固20年「フェイクニュース法」がニュースを脅かす、その本当の理由とは?

2024年はアメリカの大統領選挙をはじめ、世界60カ国以上で国政選挙が行われる「選挙の年」だそうですね。

偽情報や誤情報への対策が叫ばれているなか、アメリカの研究機関「ニュース・テクノロジー・イノベーションセンター(CNTI)」が世界31カ国32件の「フェイクニュース法」を調査したところ、対策の効果よりも、政府による濫用のリスクが際立ったという結果を報告しているということです。

この報告を紹介したジャーナリストで桜美林大学教授の平和博さんのブログによると、このうち25件の法律・法案には、「フェイクニュースとは何か」の明確な定義もなく、最大で禁固20年の刑事罰を科せられるケース(ジンバブエ)もあるとか。

定義が存在しなければ、何がフェイクニュースなのか、法律を運用する権力側が好き勝手に決めることができてしまいますよね。報告では「政府批判などに対する抑圧の手段として使われている」としています。

実際、世界各地で「フェイクニュース」を理由に投獄されるジャーナリストが後を絶ちません。

平さんのブログでは「フェイクニュース」の定義をめぐる経緯についても考察していて、「ドナルド・トランプ氏が、自らに批判的なメディアを攻撃するキャッチフレーズとして連呼するようになった」などとして、その危うさを指摘しています。

フェイクニュース対策に関連しては、先日、総務省の有識者会議で議論されている「規制強化」の流れについて「今日の必読」で取り上げました。

確かに生成AIなどの発達で、見分けのつかないディープフェイクは深刻な問題になっていますが、一方で万が一にも国家による恣意的な表現への制限が生じてしまうような事態は避けなければなりません。

情報発信をめぐる議論は、今こそより慎重で丁寧な在り方が求められていると思います。(熊)

(新聞紙学的 2024/4/12)