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歴史あるお寺から「この寺のブランドを表現する言葉を考えて」と頼まれたら、あなたならどうしますか?

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

西本願寺ブランド 決定タグラインを書かせた僧侶の思い

古くからの名刹に、「この寺のブランドを表現する言葉を考えてください」と言われたら、いやいやそんなの無理です、と後ずさりしてしまいそうです。

クリエイティブディレクターでコピーライターの原田朋さんが、長い歴史のある京都の西本願寺からブランドの変革に協力してほしいと依頼され、その過程をつづったコラムを「アドタイ」に連載しています。

今回は、いよいよ重要な「タグライン(=ブランドメッセージ。価値やコンセプトを表すもので、PRが主眼の「キャッチコピー」とは似ていますが役割が違います)」をどう決定したのか、その経緯を明らかにしています。

事前に僧侶たちとのワークショップで得た実感などをもとに、1回目のプレゼンに臨んだ原田さん。そこでの予期しない反応に、「面食らった」と告白しています。

というのも、今の社会の問題でもある「孤独」の解消こそが、お寺の重要な役割ではないかと考え、第一案を提示したのですが、

「仏教の考え方でいうと、 孤独は否定しなければならないものではありません」

と言われてしまったからです。

孤独を否定しないって一体どういうこと?と僧侶たちに尋ねると、そこからまさに「仏教対話」が始まり、大切にしていかなければならないものとは何か、という思想を掘り下げていくことになります。

そして原田さんは「3週間考え抜き、磨き込んだ」3つの案を提示します。それがどういうものだったか、そしてどれが採用されたのか。採用されたものが表現している思いとは何なのか。その答えはぜひ記事の方で読んでください。

この記事で改めて思ったのは、「タグライン」を決めていく作業というのは、単に受けのいいコピーのような言葉を考えるということではないということです。その主体、事業などが実現しようとしている、本人たちでさえ言語化できていなかった価値を、実体化させる作業なのではないでしょうか。世の中に届けることがもちろん主眼ではあるのですが、タグラインを掲げることでその主体が改めて自己を発見することこそが重要なのかもしれません。

実はかくいう私たち、スローニュースも、原田さんにタグラインを作ってもらいました。そもそも「調査報道」とは何なのか。本質的に何がしたい/するべきなのか。何度も何度も原田さんと「報道対話」を重ねるうちに誕生したのが、

We are BIAS BREAKERS.

気づかぬうちに誰もが持ってしまう先入観を、深く時間を重ねた取材や思考で打ち壊す。炎のような情熱と、事実をありのままに見る冷静さで常識や偏見をひっくり返す。そんな価値を言葉にしてもらいました。(熊)

(アドタイ 2024/2/21)