【スクープ】発がん性あるPFOA汚染水で健康不安が広がる岡山・吉備中央町、血中濃度の衝撃データを明らかにする
フリーランス 諸永裕司
国際機関で発がん性が認められた化学物質PFOA。岡山県吉備中央町で少なくとも3年間、PFOAに汚染された飲み水が供給されていた。その濃度は、国の暫定目標値の16~28倍だった。しかも、目標値が設けられた2020年より前は測定していないため、飲み水の汚染がいつから続いていたのかはわからない。
いったい、どれだけのPFOAを体の中に取り込んでしまったのか。
円城浄水場管内の約1000人の住民のうち27人が、11月末、京大の小泉昭夫・名誉教授と原田浩二准教授による血液検査を受けた。重大な健康への懸念につながる結果を、今回明らかにする。
不安を抱える住民たちの検査結果は
Aさん(38)は12年前に移住してから3度、流産した。飼っていたヤギはこの5年ほど、こどもを産んでいない。一方、愛犬は昨年3匹産んだが、うち2匹は死産で、1匹は親と違う青い目をしていた。
Bさん(40代)は出産前、妊娠高血圧症の疑いがあると診断された。切迫早産で生まれた娘は2500グラムを下回る低体重児で、すぐに新生児集中治療室(NICU)に入った。
Cさん(60代)は町に暮らして40年あまり。健康のためと医師から勧められ、できるだけ水を飲むようにしてきた。いま、腎臓や脂質異常のための薬を飲んでいる。
Dさん(70)は10年前、夫婦で故郷に戻ってきた。農業を営みながら暮らしているが、3年ほど前からコレステロール値が上がり、医師から「原因はわからない」と言われている。
そうした人々の声を受けて行われた血液検査の結果はどうだったのか。