地元メディア記者が取材をした伯備線特急「やくも」はなぜ酔うのか
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「とにかく酔う!」全国唯一の国鉄型特急「やくも」新型車両デビューで “ぐったりはくも”の汚名そそげるか
岡山県岡山市から鳥取県米子市まで直線距離にして100kmほど。しかし実は、地元ではこの移動を「地獄じゃ」と苦手にしている人が少なくありません。
それはなぜか。岡山駅と出雲駅を結ぶ、JR伯備線の「特急やくも」に原因があるというのです。乗ると「とにかく酔う」と地元では評判なのです。
なぜ「やくも」は酔うのか。その謎に乗り物酔いにはめっぽう強いという、RSK山陽放送の記者の方が挑戦をしたのが、この記事です。
たしかにグーグルマップで岡山・米子を結ぶ伯備線の路線をみると、新見市、日南町などを経て、中国山地をくねくねとうねりながら縦断しています。しかし、「やくも」が「はくも」とまでいわれる原因はそれだけではありません。
その車両にも秘密があります。曲線が多い路線を高速で走行するために開発した「自然振り子式機構」を採用しているのですが、それが酔いを引き起こすのです。詳しいメカニズムは、こちらの後編をお読みください。
記者は沿線図書館の資料や過去の映像などを掘り起こし、「酔いやすい」ことが「やくも」の誕生当時から課題になっていたこと、一方でこの特急誕生の裏には山陽新幹線の誕生で山陰地方に鉄道高速化から置いていかれるのではないか、というあせりがあったと指摘します。
豊富な過去の画像も地元局ならではです。もし可能なら、貴重な映像資料を、写真ではなく動画でみせてほしいところではありました。
2024年春には振り子機能を改善し、酔いを減らす新型が投入されるそうです。最速で2時間ちょっとの旅ですが、それまでにあえて乗ってみたいという気もしてきます(瀬)
(TBS NEWS DIG 2023/10/14)