【スクープ】「撮れるはずのない写真がなぜ」 解析で浮上した宮崎県警『証拠のSDカード改ざん疑惑』これだけの不審点
取材・執筆:フロントラインプレス
宮崎市のJR佐土原駅前で起きた殺人事件。被告・弁護側は「被害者男性が突然、ナタで襲いかかってきた。被告は正当防衛」として無罪主張していた。警察は犯行現場でナタを発見し、指紋の鑑定も行っている。弁護側の主張通りであれば、ナタには被害者男性の指紋が残っており、被告に有利な証拠となるはずだった。
ナタの写真をプリントではなくデータで求める被告・弁護側に対し、検察・宮崎県警は「データは出せない」と拒否するが、再三にわたる要求の結果、2021年12月に1枚のDVD―Rが開示された。そして検察側は、このDVDにナタの指紋採取に関するすべての写真データが入っていると明言したのである。
しかし、逆に“疑惑”は深まっていく。なぜ改ざんの疑いがあるといえるのか、浮かび上がった明らかに不審な点について詳しく伝える。
画像ファイルを詳しく調べると…浮かび上がる不審点
ナタの指紋を撮影した写真データをすべて格納していると説明されたDVD-R。それらの内容は、当初、検察側が「データは出せないが」として開示したプリント写真53枚と同じである、とのことだった。ところが、画像ファイルのプロパティを開き、撮影時刻や使用されたカメラの機種などさまざまな項目を検証していくと、いくつもの不審点が見つかったのだという。
複数の関係者によると、このDVD-Rにはフォルダが1つだけあり、そこに多数の写真データが格納されている。指紋検出のための赤外線写真、ナタそのものの写真、それぞれの拡大写真……。