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30人が亡くなった大惨事『北陸トンネル火災事故』を生還した「あずきバー」CEOの壮絶な経験

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トンネル列車火災で生き残った使命感…「あずきバー」の井村屋会長、たどり着いた先は「全社員の活躍と幸せ重視」

あずきバーで有名な井村屋グループの中島伸子会長CEO(最高経営責任者)はアルバイトから経営者にまでがのぼりつめた苦労人として知られています。その中島さんの背景には壮絶な経験があったことを読売新聞のインタビューで知りました。

中島さんは20歳の誕生日を実家で過ごすため帰省しようとのった夜行列車で、そこに居合わせた母子とともに列車火災の事故に巻き込まれたというのです。年、死者30人を出した大惨事「北陸トンネル列車火災事故」です。

中島さんに子供を託したお母さんの気持ち、その後に待ち受ける中島さんの運命を思うと、涙なしでは読めません。

この大惨事をからくも生き延びた中島さんですが、後遺症で大きな声が出せなくなり、またこころの負担も大きく、希望していた教師の道を諦めたといいます。

一方で、だからこそ、いま経営者として社員を大事にしなきゃいけない、一人ひとりに幸せになってほしいという社会的責任を強く持っていると振り返ります。

懐かしいあずきバーの甘みが、さらに心にしみるようなインタビューです。

ところで、北陸トンネルの火災事故については、本来、トンネルを出てから停車していれば被害が少なかったものの、当時は火災発生時に緊急停車することが決められていたため、それに従い、結果、多くの死傷者を出したことが明らかになっています。 

また、なにが乗客の生死の分け目になったかについては、こんな検証をJR西日本がしています。

鉄道トンネル火災事故における避難行動と救助活動

現在ではトンネルなどでは火災対策も進み、マニュアルも改訂されて、安全対策は進んでいます。

しかし、一方では2015年には新幹線内で焼身自殺を図る事件がおきるなど、新たなリスクも発生しています。2003年には韓国の地下鉄ではやはり放火で200人近くの方がなくなる大惨事もおきました。

さきのJR西日本の検証では、
・煙の中を照らす強力な懐中電灯の存在
・乗客同士で避難行動すること
・ 低い姿勢で待機または移動すること
などが対策としてあがっています。

日頃から非常時に備えた心づもりをしていくことも、大惨事を防ぐためには必要です(瀬)