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『光る君へ』藤原道長の「望月の歌」をデータから分析してみた

毎週、どきどきしながら見ているNHK大河ドラマ『光る君」へ。平安の恋愛や権力闘争もさることながら、主人公であるまひろ(紫式部)とその想い人である藤原道長とに、作家と編集者の関係をおもわせる行も多く、メディア関係の友人と盛り上がったりしています。

「華やかなお姿だけを人々の心に残したいのです」という清少納言(ききょう)に、「人には 光もあれば 影もあります。人とは そういう生き物です。それが 複雑であればあるほど魅力があるのです」と紫式部(まひろ)が対立場面は、ノンフィクションの真髄を語っていてしびれました。

また、源氏物語が筆者であるまひろの思惑をこえて、さまざまな読まれ方をし、世の中を動かしていく姿は、すぐれたヒットドラマを送り出してきた脚本家、大石静さんと重なるような気がしました。

11月17日は、いよいよ藤原道長があの有名な「望月の歌」を詠む場面だったのですが、これまでの「我が世の春」を謳歌するという解釈とは異なる視点を示していて、「なるほど」と唸らされます。

この場面については、『源氏物語』や紫式部の研究で知られる京都先端科学大学の山本淳子教授が『美術展ナビ』でデータでも裏付けています。

この歌が詠まれたのは寛仁2年(1018年)10月16日で、この月は29日が晦日とする小の月なので、暦の上で望月の日は15日なのです。私の解釈の出発点はここにあります。

文献だけではなく、科学的な背景分析も踏まえいて、実証的ですねえ。

ドラマはいよいよクライマックス。こんな解説も頭に入れながら見ると、さらに楽しみです(瀬)

このコラムは、あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしいという方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツなどをおすすめしています。