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鳴門わかめの産地偽装を追跡して徳島の若手記者たちが全国へ取材展開、雪印の偽装を調査した食品Gメンも登場

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

中国産わかめを鳴門産として販売 明らかになる偽装の真相

「調査報道の動画」で「ディグ」という文字が目に入り、最初は「TBS NEWS DIG」かと思いましたよ。

実はこちら、NHKの四国管内の放送局が1年前から展開している「シコクディグ」というシリーズ。四国のニュースを深掘りして伝える取り組みです。

今回は外国産わかめを徳島の「鳴門わかめ」と偽って販売する産地偽装が相次いでいることから、偽装の背景に調査報道で迫るというもの。徳島放送局で事件取材を担当する若手記者や、松山放送局のディレクターたちの手になる取材です。

テレビでは1月に25分サイズで放送されたものですが、再編集されたものがNHKの公式YouTubeで見られるようになっていました。

偽装に関わった業者やその取引先を当たっていくオーソドックスな取材に加え、面白かったのは以下の点ですね。

  • 雪印の牛肉偽装事件で調査の陣頭指揮にあたった元「食品表示Gメン」中村啓一さんを呼び、全国に流通している鳴門わかめから怪しそうなものをピックアップしていく

  • そのうえで、取材班が全国に飛んで「鳴門わかめ」を集め、科学的な分析で本物かどうかを判別していく

その結果、鳴門で育てられたものではないわかめがいくつか浮かび上がり……詳しくは動画を見ていただければと思います。

こうした「産地偽装報道」といえば、近年ではCBCの名作『偽りのアサリ』がありますが、それとはまた違った手法やテイストになっています。

ただ、今回の『鳴門わかめ産地偽装』の報道は、まだ完全に解明しきったとは言えません。しかし『偽りのアサリ』も取材に1000日をかけた報道でした。それに倣ってぜひ続報を。期待しています。

そういえば、この「シコクディグ」のシリーズ、1年前の「地域おこし協力隊のリアル」も話題になっていましたよね。

社会的な課題やひずみが噴出する現場は地方にこそあります。今後の発信にも注目していきたいと思います。(熊)