維新に批判的なノンフィクション作家が「野党第1党」に迫る理由を冷静に分析
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現実を直視しなければ「維新の強さ」はわからない 松本創氏が肌で感じた大阪の期待と熱狂
次の衆院選では、野党第1党の座を獲得するのではといわれる日本維新の会。一昨年の衆院選、昨年の参院選、そして今年の統一地方選で党勢を拡大してきました。多くの世論調査では、政党支持率でも次期衆院選の比例代表投票先でも立憲民主党を上回る勢いです。
根強い批判、繰り返すスキャンダルがありながら、維新が伸びるのはなぜなのか。
関西在住で維新政治を長く取材をしてきたノンフィクション作家、松本創さんが『日刊ゲンダイ』のインタビューで、永田町取材とは違う視点からその支持層の変化などを指摘しています。
松本さんは、「誰が『橋下徹』をつくったか-大阪都構想とメディアの迷走」を上梓するなど維新政治には批判的な立場です。
その松本さんが、さまざまな批判や所属議員による醜聞があっても、近年、維新が選挙のたびに勢力を拡大しているのはなぜかを、冷静に分析しています。
特に、維新を支持しているのが熱烈なファン層や浮動票だけでなく、地に足がついた層に広がっているという指摘は、興味深いです。
もともとは橋下徹ファンに支えられていた維新は、その後、支持層が広がりました。大阪都構想の否決に伴う橋下氏やその後をついだ松井一郎代表(当時)の引退によって「進退が潔い」という印象を、維新支持者に与えたことも大きいと松本さんは見ています。
最近報じられた「第二自民党」という言葉も、どことなく銀行マンのようで大企業的で保守的な岸田自民党に対して、スタートアップ的なスピード感のある政党というブランドづくりをしようとしているのだと理解できます。
これまでの永田町だけをみてきたメディアの政治取材では届かなかった大阪の現状から、維新を支える状況がよく見えてきます。(瀬)
(日刊ゲンダイ 2023/7/31)
*タイトル、サムネイルの筆者松本創さんの写真は(C)日刊ゲンダイ