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大ヒットは偶然ではない!話題の自主制作映画『侍タイムスリッパー』安田監督がこだわった「再現性」

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『カメ止め』ムーブメント再来か!『侍タイムスリッパー』安田淳一監督インタビュー

自主制作映画として単館上映からはじまりながら、SNSで評判が広がっていた『侍タイムスリッパー』が、9月13日から全国100館以上に拡大公開されました。

やはり口コミで広まり大ヒットした『カメラを止めるな!』の再来か、ともいわれるそのサクセスストーリーですが、監督、安田淳一さんがインタビューで、『カメ止め』を徹底的に研究したことを明かしています。

実は『カメラを止めるな!』を目指して作ったんですけど、あの作品は脚本と構成が発明的。これはまねできないな。でも、上映中の笑い声と最後に拍手という状況を再現できれば、オーソドックスな脚本のアプローチでも可能かもしれない。そんな思いで脚本を書きはじめました。

という安田監督は、『カメ止め』はもちろん、『蒲田行進曲』や『マトリックス』(!)など大ヒット映画を研究、その要素をとりいれてきます。

6年前に『カメラを止めるな!』が大ヒットした時、いろんな方が「これは後にも先にも一回きりのこと」と言ってました。僕は「一回できたことは再現性があるのではないか?」と、いろいろ研究して『侍タイムスリッパー』を進めてきました。

大ヒット作品を偶然と捉えず、その要素を分解して、『再現性』にこだわったところが、事業を拡大していく起業家にも合い通じるものがあります。

それを実現できた安田監督の執念であり、またそれを支えた「無名監督の脚本でも面白いものは面白い」と応援した、時代劇の本拠地、東映京都撮影所のプロたちの情熱でもあります。

初めて東映京都撮影所で当時のプロデューサーに呼び出された時、僕が入室するとすでに美術、床山、装身具、衣装、俳優部の皆さんが集まっていました。そして美術部の方が「普通は自主映画って聞いたら反対する。お金かかるからやめときなはれって。でもこれは脚本がおもろいから、なんとかしたりたいと集まったんや」と言ってくださいました。

安田監督は米農家を続けながら、映画製作に取り組んでいるそうです。

経済的には決して恵まれた環境ではない自主制作の映画にあって、クリエイティブに関わる人たちの熱量が伝わってくるインタビューでした。(瀬)