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NHKが「ライターズルーム」に挑戦!脚本の共同制作で重要な「因数分解」「共通言語」

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土曜ドラマ『3000万』で初めて実践。NHKが海外の制作手法を取り入れて得た気づき

『光る君へ』の大石静さん、『ラストマイル』の野木亜紀子さん、『虎に翼』の吉田恵里香さんーー傑作ドラマが相次ぐ中で、最近、あらためて大御所から若手まで力のある脚本家の存在が注目されています。

一方、長期のシリーズものなども多い海外ドラマでは複数の脚本家がグループで脚本を制作する共同制作が主流になっています。日本でもTBSの『VIVANT』など共同制作の脚本を売りにするドラマも増えてきています。

NHKも2022年に、複数の脚本家が「ライターズルーム」という場に集い、共同執筆するという海外ドラマの手法を取り入れるために、脚本開発に特化したチーム「WDR(Writers' Development Room)プロジェクト」を立ち上げました。

そこから生まれた土曜ドラマ『3000万』のチーフ演出、保坂慶太さんがFRAUのインタビューで、WDRの制作手法や日本とアメリカの制作現場の違いなどを語っています。

NHK内部でもライターズルームという手法は10年前から知られていたが、「複数の脚本家がつくる」ということ以上には、よくわからなかった。そこで、保坂さんは2019年に渡米し、現地でライターズルームによる制作手法を徹底的に学んできたそうです。

「ライターズルームのコアの部分、中身を学んできた自負があって、そこでの学びを活かして今回のプロジェクトを進めたつもりです」と言い切るだけあって、インタビューも具体的で興味深いです。

たとえば複数で脚本をつくるときの成功の要素についてこう語っています。

ジャンルや尺を問わず、チーム制が成り立つにはメンバー間の信頼関係と、共通言語が絶対必要だと思います。つまり、同じ作品を観ているか、同じところに面白がれるかとか。
例えばジェシー・ピンクマン(『ブレイキング・バッド』の主人公ウォルターの元教え子)の話をした時に、その人誰?って感じの人がいると、そこでチーム制の機能は停滞してしまう。
同じ作品を観ていたり、何の要素が面白いかを因数分解して共通言語として持っておくことが、チームの意見交換の基礎として必要で。この基礎がないと、好みだけの議論になりかねないんです。

「共通言語」「因数分解」などクリティティブを共同作業するうえでの重要なヒントがつまったインタビューです(瀬)