見出し画像

小さなローカル局「サンテレビ」がガチンコで挑んだ「地方自治体の不正追及」の迫力

あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。

きょうのおすすめはこちら。

内部告発 洲本市元課長の不正行為~東京アンテナショップ元店員たちの証言と録音データ「現市長は知っていたはずだ…」~

神戸市に本社をおくサンテレビは、もともとUHFからスタートした小さなローカルテレビ局です。名高いのは、阪神タイガースの試合を終了まで放送する「完全中継」。9月14日には18年ぶりのセ・リーグ優勝を独占生中継、視聴率は最高29%にものぼり、話題になりました。

そのサンテレビが、同じ9月、地方自治体の不正についてのスクープをとばしています。小さな地方局が、しっかりとした調査報道で結果を出しているのは、まさにクリーンヒットです。

それが兵庫県洲本市の元職員が現職時代に、第三セクターが運営する東京のアンテナショップなどで働いていた不正を告発する調査報道です。

不正の手口は、アンテナショップの商品をただで食べたり、おカネも払わずに知人に高級な肉を送ったり、はたまた親しい女性を雇用させようとしたり、あまりにお粗末というか情けないもの。ただ、サンテレビの取材は、より深刻な問題を明らかにしていきます。

不正が行われていた当時、副市長であり、問題の第三セクターの社長であった上崎勝規洲本市長は、不正行為については報告を受けていなかったと証言していたのですが、それがでたらめだったのです。

サンテレビは、市長が実際に報告を受けていた場面の音声データを入手します。それまで否定していた市長は証拠をつきつけられて、

「じゃあそれは多分誤っていたんだと思います。間違っていたんだと思います」

と、しどろもどろで、自らの証言が違ったことを認めざるをえなくなります。

淡路島の洲本市という小さな町ですが、メディアが行政の監視機能を果たすことは緊張感をもたらし、とても重要な役割です。人もおカネもふんだんではない小さなローカル局が、報道機関としての機能をしっかりと果たす。地方メディアの意地を感じる調査報道です。(瀬)

(サンテレビニュース 2023/9/27)