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【スクープ】警察内部で「エアー」と呼ばれた“カラ出張”の方法を明らかにする

取材・執筆 フロントラインプレス

【広島県警「カラ出張」②】
2019年から2020年にかけ、広島県福山市内の警察署で繰り返されたとされるカラ出張。一連の不正は、どのような形で実行されていたのだろうか。調査報道グループ「フロントラインプレス」が入手した関係者の証言や書類、メールの写しなどを分析していくと、その詳細が見えてくる。


架空の「旅費」口座振り込みの実態

舞台となった警察署の警備課では普段、過激派など監視対象の情報を収集し、動向を注視することが主な任務だった。捜査には、組織の情報を警察に提供してくれる「協力者」の存在が欠かせない。もちろん、捜査に従事する警察官には関係法令やコンプライアンスの遵守が求められる。隠密の捜査だからといって、事実と違う経理書類の作成、ましてや「カラ出張」が許されるはずはない。

上席の指示によって一連のカラ出張に関わったと証言する当時の巡査部長(2022年3月末に退職)は「誰もが法を守らなければならないが、警察官は特にそう。『命令』が絶対の組織とはいえ、法に反した指示を出すことは許されないし、自分も従うべきではなかった」と語る。

では、福山市内の警察署で繰り返されたというカラ出張は、どのような内容だったのか。

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