「見えない国」北朝鮮をオープンソースでどこまで可視化できるのか、世界のウオッチャーたちの挑戦
あふれるニュースや情報の中から、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。
きょうのおすすめはこちら。
調査報道・新世紀 File2 北朝鮮 極秘ミサイル開発
「NHKがまたすごい調査報道を出したのか」と期待して見ると、ちょっと肩透かしを食らわされるかもしれません。
この番組は、北朝鮮という閉鎖的な国家を、数少ないオープンソースを利用することで徹底的に解明しようと活動している、世界中の「北朝鮮ウオッチャー」の姿を描いたものです。
どんなOSINT(オープン・ソース・インテリジェンス)のテクニックが使われ、そして判明した新事実とは何なのか、それを紹介していく、いわばカタログ的な番組という印象でした。
衛星画像でひたすら北朝鮮を観察して独自のマッピングをしているアメリカの地図マニア
北朝鮮の弾道ミサイル軌道の可視化に取り組むシンガポール在住の日本人ITエンジニア
同じくミサイルの性能をオープンソースから割り出すオランダ国防大学の研究者
北朝鮮の国営メディアの映像を分析することでミサイル開発技術を探るアメリカのOSINT先駆者
北朝鮮とロシアとの関係を探るイギリス王立防衛安全保障研究所のOSINTチーム
そして北朝鮮とロシアとの「武器の共有化」を指摘するオランダの軍事情報サイト「ORYX」のメンバー
これらをつないで見せていくことで、「見えない国」の今の姿が徐々に浮かび上がっていきます。
途中、NHKがこのうちのある研究者の発見を引き継いで、北朝鮮で使われているミサイル用の工作機械の出所を、世界各国を股にかけて追跡していく、というパートもあるのですが……その結果は番組のほうで。
新たな時代の調査報道がどんな地平をもたらすのか、これもまた目が離せません。この番組は1/21(日) 午後9:49 までNHKプラスで見られます。(熊)
(NHKスペシャル 2024/1/14)