マイナカードどころじゃない、生体情報から銀行口座まで紐づいた10億人の「個人ID」がインドにもう出現していた!
混迷する世界の実像を知り、ゆっくりと思考を深めるヒントがほしい。そんな方のため、スローニュースの瀬尾傑と熊田安伸が、選りすぐりの調査報道や、深く取材したコンテンツをおすすめしています。
台頭する“第3極” インドの衝撃を追う
正直、「またインドの技術力や経済成長がすごいというよくある番組だろう」とたかをくくって見ていたら、椅子から転げ落ちるぐらいの衝撃を受けました。
日本ではマイナンバーカードで大騒ぎをしていますが、インドではそれどころではありませんでした。眼の虹彩や指紋などの生体認証に使える情報を、5歳以上の国民から収集。銀行口座や携帯電話などとともに個人IDに紐づけたシステムを国が開発し、運用しているといいます。その数、10億人……ここまで進んでいたとは。
システムは民間に開放されているので、露天でもQRコード決済は当たり前ですし、それどころか指紋だけですぐに現金を引き出せます。確かに事業者は便利でしょう。
でも、これってディストピア物のSFで描かれていたようなスーパー管理社会を想像しちゃいますよね。実際、インドでも人権侵害に当たると裁判も起きたとか。Big Brother Watching You!すべての個人の活動が国に丸見えになって管理されかねない怖さを感じました。
さらにこうした「インド式ID」は、アフリカなどにも広がり、11か国で使われているとか。脱税を防ぐため、納税情報と紐づけた国もあります。インドを起点に超管理社会が生まれていく世界線がこのまま到来するのでしょうか。
やっぱり日本は遅れている、という思いの一方で、マイナカードへの不安が顕在化すると多くの人が声をあげられる社会というのは、ある意味、健全なのかもしれないと思いました。
この番組は、7/23(日) 午後9:49 までNHKプラスで見られます。(熊)
(NHKスペシャル 2023/7/16)