再審無罪判決に新聞社は責任をどう感じたか?袴田さんへのお詫び、報道検証…各社の違いをチェックする
1966年に起きた殺人事件の再審で無罪が言い渡された袴田巌さん。実に58年もの月日を要した冤罪判決は、捜査当局による証拠捏造の疑いを指摘する厳しいものでした。捜査のあり方、責任が問われています。
一方、捜査当局と一体になり、袴田巌さんを逮捕前後どころか、検察の矛盾が指摘されて以降も犯人扱いをしてきた報道の責任もまた重いことはいうまでもありません。この点をどう受けとめいているのか、9月26日の判決翌日の朝刊を見ると、新聞社は各社態度が鮮明にわかれました。
毎日新聞と東京新聞は判決の翌日、27日の朝刊で、これまでの報道を謝罪する記事を掲載しました。
毎日新聞は、朝刊2面に「捜査当局情報に傾斜」という見出しで、自社の報道を検証する記事を掲載。その中で、編集局長名で「人権侵害、おわびします」という謝罪を掲載しています。
東京新聞は朝刊の1面に「袴田さんにおわびします」という社告を掲載した点では抜きん出ています。Xにも画像を貼っていす。デジタル版では見当たりませんでした。
朝日新聞は、朝刊の紙面に「逮捕前から本人特定し報道」という見出しで報道を検証する記事を掲載ていました。しかし、お詫びはありませんでした。またデジタル版では、「袴田さん最新無罪判決(要旨)」という記事にまとめられています。
読売新聞、産経新聞、日本経済新聞については、同日朝刊では自社の報道を検証したり、謝罪をする記事を確認できませんでした。
今後、捏造疑惑まで指摘をされた検察が控訴を断念するのかどうか、司法にはあるべき姿が求められています。メディアも自らの報道を検証し、謝罪をするのか、その報道機関としての姿勢が問われています。(瀬)