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相原コージさんが自身の壮絶な「うつ病体験」を描いたマンガにこめたメッセージ

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うつ病になってマンガが描けなくなりました


4コママンガにシリーズを持ち込んだ『コージ苑』、竹熊健太郎さんとの合作で漫画の創作手法をパロディで描いた『サルでも描けるまんが教室』、動物の生態をコミカルに、ときにシリアスに描いた『勝手にシロクマ』ーーマンガ界に新風を吹き込む作品を次々にヒットさせてきたギャグマンガの鬼才、相原コージさん。

その相原さんが深刻なうつ病に直面した自身の体験を描いた漫画が、集英社オンラインで公開されています。

相原さんはコロナ禍であった57歳のとき、深刻なうつ病になり、37年間つづけてきたマンガを描くことができなくなってしまいました。

いままでは10本書いていた漫画のネームが4本しかかけなくなり、交差点でも、「青信号は渡っていいのか」がわからなくなり不安になる。

突然、はじまったうつ病はますます深刻になり、思い余って「家族に迷惑をかけるので」と何度も自殺を試み、閉鎖病棟に入院することになります。

その壮絶な体験を淡々と、しかし、赤裸々に描いた相原さんは集英社オンラインでのインタビューで、

「今はとにかく、自分が経験したことや、実際に起こったことをできるだけリアルに描こうとしているだけ」

と語ります。

連載はいまも進行中で、

「実を言うと、この連載がどういう風に終わるかも、まだわからないんです。」

と明かします。

続きが気になると同時に、「このマンガが読めてよかった」と相原さんの復帰をあらためて喜びたくなります。コミックとしても、「発病編」、「入院編」の2巻が出版されています。

うつは「脳の病気」で、物質的な病なんだと主治医に言われて、ぼくはちょっと楽になったというか、前に進めたんで。ある種のバグみたいなもんですよね。そういうことは描きたいと思ってますね。

という相原さんの大切なメッセージが、マンガという形で広く読まれるのは社会のうつ病理解を深めるためにもいいですね。(瀬)

集英社オンライン(2023/05/19)